Market Analysis
2月米CPI(前年同月比)は2.2%増となり市場予想と一致。コア指数も1.8%増とインフレが抑制された状況が確認された。2月雇用統計と今回のCPIの結果は、投資家のリスクセンチメント改善という観点で考えるならば、理想的な内容になったと言える。米長期金利の急上昇リスクがこれら上記2つの指標データによりひとまず回避されたからだ。米国の政治が停滞している状況はリスク要因である。だが、ボラティリティを確認する限り、ティラーソン米国務長官の解任を受けても2月上旬のリスク回避時のレベルと比較すれば、未だ低水準で推移している(チャート①)。穏健派のティラーソン氏が政権を去ることで米外交リスクは高まるだろう(特に北朝鮮問題には要注意)。しかし、今回の解任劇で株式市場が混乱する可能性は、上述したボラティリティの状況と堅調なファンダメンタルズを考えるならば低い。
一方、外為市場では、米政治リスクが米ドル相場の下落圧力要因として意識され続けるだろう。事実、ユーロドルは日足基準線を突破し、2月高値1.2555を起点とした短期レジスタンスラインを視野に入れる展開となっている(チャート②)。短期リスクリバーサルがユーロ相場の堅調地合いを想定した動きになっている点も考えるならば、現在の外為市場は、FEDの利上げ以上に米国の政治リスクを意識していることがうかがえる。レジスタンスラインの突破は、1.25台再上昇のシグナルと想定したい。1.2450、1.2500および1.2550にはそれぞれオファーが観測されている。一方、米国の政治リスクはドル円の上値を抑制し続けよう。昨日は陽線引けとなったが、長い上ヒゲが示現した。リスク選好相場時の上ヒゲ示現は、米ドル安圧力が根強いことを示唆している。テクニカル面でもリトレースメント38.20%で上値がレジストされており、ドル円の地合いの弱さがうかがえる。だが、リスクリバーサルが再び拡大する傾向は見られない。上下に振れながらも株式市場が次第に株高回帰のムードを高めている点も考えるならば、「米ドル安 VS 円高圧力の後退」を背景に105.00-108.00の攻防が継続しよう。上下のポイントはチャート③を参照。また、107.50および107.80にはオファーが観測されている。一方、プロジェクション38.20%戻しが位置する106.00にはビッドの観測あり。
【チャート①:米長期金利 / 米株ボラティリティ】