Analyst's view
11日のレポート「1月20日までは調整相場継続も」で指摘した通り、外為市場では米ドル高の調整相場が継続している。ドル円は5日連続で陰線が示現。テクニカル面でも10日MAが21日MAを下方ブレイク(=デッドクロスが示現)する展開となっている。一方、ユーロドルは徐々に下値レベルを切り上げる展開が続き、先週後半に昨年12月8日以来となる水準まで一時反発する局面が見られた。
米ドル高調整継続の主因は、米国債券市場での調整相場継続にある。この点はチャート①と②を見れば明白。①はドル円と日米10年債利回り格差の動向を比較しているが、見事に連動していることがわかる。そして②はユーロドルと米独10年債利回り格差の動向を比較しているが、見事に反比例の関係にあることがわかる。つまり米ドル高再燃の鍵は米金利の反発ということになるわけだが、そのような展開となるには、これまで金利上昇のエンジン役となってきたトランプ政策への期待が再び高まる必要がある。しかし、その期待が市場で再び高まるためには、トランプ次期大統領自ら、自身が構想している経済促進政策を概要ではなく具体的に説明することが求められる。1月20日の就任式後、この点ついての説明がなされるならば、米金利と米ドル相場はともに反発しよう。逆にこの説明が欠けるならば、現在の相場状況(=調整相場)が継続しよう。ただ、グローバル株式市場が崩れるムードはなく、また原油先物相場をはじめとした国際商品市況が堅調に推移している状況も考えるならば、目先リスク回避ムードが強まる気配は感じられない。よって、目先のドル円は米ドル安VS円安のせめぎ合いとなり、上値の重い展開が想定される。テクニカル面では21日MA(116円ミドルレベル)を目先の上限と想定したい。一方、下値の焦点は、昨年12月上旬安値113.00、118.66からのリトレースメント38.0%112.00レベルおよび118.66への上昇の起点となった111円ミドルを想定。
尚、ドル円以外で注視すべきは欧州通貨の動向だろう。本日早朝、ポンド相場は対ドル&円でギャップオープンとなった。今後、EU基本条約(リスボン条約)第50条の発動とEU離脱手続きに関する報道が多くなろう。これらの動向によってはスコットランド情勢がさらなるポンド安要因となる可能性もくすぶる。昨年12月中旬以降、ポンド相場が下落基調へ転じている点や今朝のギャップオープンはこれらの点に関して徐々に懸念が強まっていることを示唆している。また、欧州政治リスク(目先は3月のオランダ総選挙リスク)が意識され易い局面へシフトすることも考えるならば、ユーロ相場の動向にも要注意。この点については13日のレポート「ドル円 / ユーロ円についての考察」を参照されたし。