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株高に追随できないドル円相場の背景にある要因とは?

Market Overview

13日の海外外為市場は米ドル買いの局面が散見されるも、目立った値動きは見られなかった。この日の米国株式でもトランプ政策(減税政策)を意識した買いが続き、主要3市場(ダウ平均 / S&P500  / ナスダック)はそろって過去最高値を更新。米国債券市場でもトランプ政策への期待と株高を背景に各ゾーンの金利が上昇した。米ドル相場との相関性が高まっている10年債利回りは3営業日連続の上昇となり、2.452%と今月6日以来となる水準まで反発する局面が見られた。「米株高 /米金利反発」を背景に外為市場では米ドル買いが散見された。対ユーロでは1月19日以来となる1.06割れの局面が見られた(安値1.0592)。一方、対円でも一時114円台へと上昇。ただ、米通商政策(=米ドル安政策)への警戒感は根強く、NYタイムに入ると米ドル買いの勢いは後退。その後は113円後半で上値の重い状況が継続した。米ドル買いが散見されたにもかかわらず対円でその圧力が後退したこと、国際商品市況が反落したことも合わさりNYタイムのクロス円は株高に追随できず円高優勢の展開となった。

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Analyst's view

13日のグローバル株式市場は総じて堅調に推移した。50ドル台で堅調に推移し続けているNY原油先物や190-196ポイントのレンジ相場を維持している国際商品市況を背景に、外為市場では資源国&新興国通貨が対ドルで堅調に推移している。現在のグローバル市場では、根強いリスク選好ムードが続いていると言えるだろう。

注目すべきは、このトレンドにドル円が追随できていない点だろう。上述の通り、昨日のNYタイムは総じて「ドル安/円高」優勢の展開となった。株高傾向が続いているため、リスク回避の円高圧力が急速に強まっているわけではない。しかし、これまでのような「株高=円売りによる上昇」というパターンは見られない。
要因は2つある。ひとつは、このレポートで指摘してきた「トランプ政策の仕分け」が各市場で進行している点だろう。①大規模減税、②インフラ投資、③規制緩和、④通商政策のうち、①~③は米国内の需要を高める政策であることから株高&金利上昇要因として捉えられている。対照的に④は米ドル安政策として警戒されている。事実、日米首脳会談の期間中にトランプ米大統領が為替と公正な貿易について言及すると、113円ミドル前後から112.85レベルまで一気に下落した。この反応は、ドル円が今後の米通商政策が加速する場合、下落するリスクを常に内包していることを示唆している。もう一つの要因は、米金利の上昇圧力に陰りが見えることだ。今年に入り米10年債利回りは2度の低下局面に直面したが、2度目の低下局面では米FOMC後よりその幅が拡大した。また、先週6日にも低下圧力が強まった事実も考えるならば、①米利上げペースへの不透明感と②欧州政治リスクへの警戒感が米金利の上昇圧力を阻害している要因と捉えることができる。後者は、現在のドル円のトレンド決定要因は、株式市場ではなく債券市場(金利動向)にあることを示唆している。その米金利だが、株高傾向が続く現状を考えるならば、急速に低下することはないだろう。だが、欧州の政治リスクが上昇圧力の阻害要因となる可能性は高く、その影響はドル円にも波及しよう。目先は日足基準線(114.50レベル)トライの可能性があるものの、常にダウンサイドへの警戒心を保ち続けたい。


【チャート①:日米利回り格差とドル円】

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