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米金利の不安定化を背景にドル円はレンジ継続

Market Overview

22日の海外外為市場では、ユーロの売り買いが交錯する展開となった。欧州の政治リスクを背景にユーロドルは欧州タイムに一時節目の1.05割れ(安値:1.0493)。しかし、仏大統領選に関する報道(=フランソワ・バイル氏が同じ中道派のマクロン前経済相と共闘することで合意という報道)がユーロ売り圧力を後退させ、NYタイムでは一転ユーロショートカバーの展開に。一方、米ドル相場はFOMC議事録(1月31日-2月1日分)公表後に下落する展開となった。追加利上げについての議論がなされていたことが判明したものの、3月利上げの可能性を高める内容ではなかった。また、米ドル高リスクへの懸念も同時に指摘していたことでドル円は113.65レベルから113.00割れの展開に。ユーロドルは上述したフランスリスクの後退も合わさり、高値1.0574レベルまで値を戻す展開となった。ただ、3月利上げ観測が排除できない状況となっている中では、それ以上の米ドル売りは進行せず、東京時間のドル円は113円台を回復して始まっている。

一方、この日の海外株式市場は強弱まちまちながらも、米国株式市場ではトランプ減税政策への期待や良好な住宅関連指標が好感され、ダウ平均が前日比32ドル60セント高の2万0775ドル60セント(速報値)と、9日連続で過去最高値を更新した。米金利はフランスリスクの後退とFOMC議事録で3月利上げに関する明確なシグナルが確認されなかったことで低下。米ドル相場との相関性が高い10年債利回りは2.40%台で終始こう着状態が続いた。

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Analyst's view

米国市場では連日の高値更新となる一方、米金利は株高に追随できず上下に振れる不安定な状況が継続中。この対照的な状況は、株式市場程、債券市場ではトランプ政策にたいして純粋に期待できない理由があることを示唆している。その理由とは、イエレン金融政策に対する不透明感だろう。米金利が再び株式市場との相関性を高めるためには、①良好な米指標データと②FEDの明確な利上げシグナルが重要な鍵を握ることはこのレポートで指摘済み。だが、市場予想を上回った小売売上高、PPIやCPI、さらに昨日発表された1月中古住宅販売件数も2007年2月以来の水準(=季節調整済みの年率換算で569万戸 / 前月比3.3%増)まで上昇したにもかかわらず(①は金利の上昇要因となりえるにもかかわらず)、米金利の上昇圧力が抑制されている事実は、FEDサイドの不透明な利上げスタンス(②)の方がより強く意識されているからだろう。また、中期的に俯瞰した場合、米ドル安政策を志向するトランプ政権との軋轢も今後米金利の上昇圧力を阻害する要因として立ちはだかる可能性がある。

上述した理由を背景に目先の米金利が株式市場ほど順調に上昇トレンドを形成出来ないとなれば、ドル円の上昇幅も限られよう。ただ、株高は円売り要因として作用する。国際商品市況、特に原油市場の需給環境が改善傾向にある点も考えるならば、急激な円高へ振れる可能性も低い。よって、3月のFOMCまでは111.60-115.00のレンジ相場を意識する状況が継続しよう。FOMC前にこのレンジをブレイクするならば、①FEDサイドによる3月利上げの継続的な地ならし発言、②良好な指標データ(特に雇用統計における賃金動向)、③トランプ大統領による大型減税政策の発表となろう。①と②はレンジの上方ブレイク要因となろう。一方、③だが、内容次第ではかえって「株安→米金利低下」を誘発する可能性がある。米国市場がこのような展開となれば、ドル円はレンジの下方ブレイクリスクを意識する展開となろう。


【チャート:米株と米金利の年初来パフォーマンス】

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