Analyst's view
14日のレポート「国際商品市況の動向を注視」で指摘したとおり、昨日のNYタイムは「原油安→株安→米金利低下→円高」の展開となった。国際商品市況(CRB指数)が綺麗な山なりの形状となり、昨年のトランプ相場の上昇幅を急速にかき消す展開となっている(チャート①参照)。CRB指数急落のタイミングが、米金利が急反発したタイミングと重なっている事実は、「米利上げリスク=米ドル高リスク」が国際商品市況で意識されていることを示唆。ただ、トランプ政権発足後から徐々に上値が切り下がってきた状況を考えるならば、これまで期待先行相場の土台となってきたトランプ政策に対する不透明感が強まっていることが、国際商品市況急落の根底にあろう。
本日FOMCでの利上げはすでに織り込み済み。よって、FOMC後は期待先行相場の反動から、調整相場(=米金利低下 / 米ドル安)へシフトする可能性が高いと想定している。ただ、利上げペースの思惑次第でこの想定が崩れる可能性もあるため要注意。利上げペースの動向を見極め上で、イエレン会見と政策当局者による今後の見通し(経済 / 政策金利見通し)が重要材料となろう。年3回以上の利上げペースが市場で意識される内容となれば、米金利と米ドル相場のさらなる押し上げ要因となるからだ。ただ、トランプ政策への不透明感が払しょくされない状況下での米金利と米ドル相場のさらなる上昇は、国際商品市況のさらなる下落を誘発する可能性が高い。特に注視すべきは原油先物相場だろう。ここにきて供給過剰解消の思惑が後退し、WTIは標準誤差回帰分析バンドの下限と2016年2月11日安値26.05ドルを起点とした長期サポートラインがクロスしているポイントを完全に下方ブレイクしている。次のサポートポイント(2016年8月3日安値39.19ドルを起点)を視野に入れる展開となっている。このタイミングでタカ派のFOMCとなればさらなる原油安となりかねない。その影響が米株にも波及することで円買い圧力につながる可能性があろう。FOMC後のドル円のメインシナリオは下値トライ。タカ派のFOMCとなっても、上述したネガティブインパクトにより115円ミドル前後で上値がレジストされる展開を警戒したい。