Analyst's view
2月中旬より急きょ始まったFEDメンバーの3月利上げに向けた地ならし発言の連発により、当初メインシナリオではなかった3月利上げが急速に市場で意識された。このため、今回のFOMCでは、イエレンFRBの利上げペース加速が最大の注目材料として浮上していた。しかし、最新のドットチャート(FEDメンバーによる政策金利見通し)では、2017年末時点のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の中央値が1.375%(1.25~1.50%の範囲)と、前回12月の見通しから変化していないことが判明。年3回以上に利上げペースが加速することを意識していた米債券市場と外為市場では、それぞれ米債の買戻し(=米金利低下)と米ドル売りの圧力が強まった。
15日のレポート「焦点は米利上げペースと国際商品市況」にて、FOMC後は期待先行相場の反動で調整相場へ転じる、と指摘したが、現状は想定通りの展開となっている。ドル円は大陰線の示現で、今月1日以来となる21日MAを下方ブレイクする展開となった。ただ、リスクシナリオであった「米利上げペースの加速→国際商品市況のさらなる下落→株安」は回避されたことで、ドル円が急落するリスクも後退した。今後はトランプ政策の中身と欧州政治リスクの動向(フランス大統領選挙 / BREXIT)に市場の焦点がシフトしよう。それらの詳細が判明するまで、ドル円は115円ミドルレベルを上限としたレンジ相場が継続するだろう。ただ目先は、期待先行相場(=ドル円上昇)の反動による調整相場(=ドル円下落)を想定したい。日足チャートを確認すると、今月10日以降、市場の気迷いを示す小陽線と小陰線が戻り高値のレベルで入り交じる展開となり、昨日はついにトレンドの方向性を示す大陰線が示現した。上述した21日MA下方ブレイクも考えるならば、チャート上では再び111円台へ下落するムードが強まっている。一方、目先のレジスタンスポイント1.0714レベルの突破に成功したユーロドルは、上値トライの展開を想定したい。目先のターゲットは1.0494からの76.40%戻し1.0750レベル。ただ、1.05レベルでのダブルボトム、10日MAにサポートされての大陽線示現を考えるならば、今年最高値1.0829レベルを視野に上昇幅の拡大を想定したい。