Analyst's view
ECB理事会を受け、フランス大統領選挙以降上昇基調にあった独金利は低下。それに伴い、米独利回り格差の縮小も一服し、ユーロドルは2日連続で陰線が示現した。また、通貨オプション市場では1か月物ユーロコールへの需要が後退し、リスクリバーサル(RR、25D)が落ち着いた状況へと転じている。フランスリスクの後退を背景としたユーロ買いは一服したと判断。
4月の重要イベントをこなしたことで、外為市場の耳目は再び米ファンダメンタルズの動向にシフトしよう。トランプ政策の土台となる財源をどのように確保するのか、この問題に対して未だ回答を出せないでいるトランプ政権の現状を考えるならば、米金利は年初から続く不安定な状況が続く可能性が高い。事実、トランプ減税発表後の米10年債利回りは低下基調へ転じている(チャート①参照)。米金利が持続的な上昇トレンドを描けなければドル円の上昇幅は限られ、クロス円の上値も圧迫されよう。
トランプ政策への不透明感というネガティブインパクトの相殺要因として注視すべきは、来週以降発表される重要指標データだろう。4月雇用統計を含め、来週以降発表される米指標データが総じて市場予想を上回る内容となれば、6月利上げ期待への思惑が高まり、米金利には上昇圧力が強まろう。ドル円は108円割れリスクが後退し、今年高値118.60レベルを起点とした短期レジスタンスラインのトライが想定される(チャート②参照)。逆に冴えない内容が続くならば、ドル円の上値は圧迫されよう。ただ、ECBの現状維持と米利上げペースの後退観測は株高要因である。「冴えない指標データ→米金利低下」となっても、株高が米金利低下の相殺要因となることから、ドル円が一気に108円を割り込む展開は考え難い。その考え難い状況が発生する材料として注視すべきは、①トランプ政策を巡るトランプ政権と共和党 / 米議会との軋轢、②北東アジアリスクの再台頭だろう。