Analyst's view
9日のレポート「市場のテーマはフランスから米国へ」で指摘した通り、外為市場のメインテーマはフランス大統領選挙から米国の金融政策へ完全にシフトしている。この点はユーロドルの大陰線示現が示唆している。連続で大陰線が示現し急反落しているが、この主因は、米独利回り格差が再び拡大傾向へ転じていることにあろう(チャート①参照)。ドラギECBは金融政策の変更シグナルを昨年後半から徐々に発信している。ただ、目先は現状を維持する公算が高い。対照的に米金融政策は昨日のFEDスピーカー達の言動からもわかるとおり、引き締めスタンスを徐々に鮮明にしている。よって、今後は米金利の上昇幅が独金利のそれを上回る可能性が高いことからユーロドルのさらなる調整を想定したい。目先の焦点は、9日のテクニカルレポートでも指摘した重要サポートポイント1.0850レベル。このポイントを下方ブレイクした場合は、1.08割れリスクを警戒したい。
一方、ドル円は上値トライを想定したい。トレンドの決定要因が米金利にある以上、その米金利が低下しない限りドル円はサポートされる公算が高いからだ。目下、米金利の低下圧力を強める要因として注視すべきは①株式急落リスク、②地政学リスクの2つ。今月中盤以降、株式のリスク要因となるような重要政治&経済イベントは予定されていない。よって、調整売りは散見されるだろうが①のリスクが発生する可能性は低いだろう。②のリスクが発生する可能性も後退している。韓国大統領選挙では予想通り9年ぶりに革新系の政権が誕生することになった。日米との連携には不透明感が漂うものの、保守系政党の誕生による北東アジアの地政学リスクの再燃という可能性が後退した点では、①の株式急落リスク後退要因ともなろう。また、リスクリバーサル(1か月、25D)を見てもドル円の下落リスクの高まりはうかがえない。本日は、今年高安の61.80%戻しにあたる114.60レベルのトライが焦点となろう。このレベルをも上方ブレイクする場合、節目の115円トライの展開を想定したい(チャート②参照)。