Analyst's view
4月CPIおよび小売売上高(ともにコア)に続き5月NY連銀製造業景気指数もマイナス1.0と市場予想(7.5)以下の内容となった。15日の米金利は小反発したものの、「株高 / 原油高」が冴えない指標データという不都合な真実を覆い隠した感が強い。
だが、利回りスプレッドを確認すると、冴えない米指標データの影響を隠し切れない事実が垣間見える。米10年債利回りと日独のそれとのスプレッドを確認すると、縮小&抑制傾向にあることがわかる(チャート①&②参照)。利回りスプレッドの縮小は米ドル高圧力の後退要因となるが、ユーロドルでは、2016年高値1.1616を起点とした長期レジスタンスラインを三度トライする展開となっており、スプレッド縮小の影響がもろに出ている。ドイツ最大の人口を抱える西部ノルトライン・ウェストファーレン州の議会選でメルケル首相率いる保守系政党のキリスト教民主同盟(CDU)が勝利したこと、この結果により早くも9月の連邦議会(下院)選挙への不透明感が後退(要は欧州政治リスクがさらに後退)したことも考えるならば、ユーロドルは三度目の正直で長期レジスタンスラインを突破する可能性がある。対ドルでユーロ買い圧力が強まれば、すでに2つの重要テクニカルポイント(週足一目雲 / 短期レジスタンスライン)を完全に上方ブレイクしているユーロ円も125円への再上昇とさらなる上値トライが想定される。一方、ドル円は上値が抑制された状況が続くだろう。世界的なリスク選好ムードが続いていることから急落リスクは後退しているものの、日米利回りスプレッドの拡大が抑制されるならばリスク選好トレンドに乗り切れず、114円ミドル前後(テクニカル面では61.80%戻しの114.60レベル)で上値がレジストされる可能性が高い。
本日は米住宅関連指標が発表される。住宅市場の動向は個人消費の動向に影響を与えるだけに、内容次第で米金利の変動要因となろう。良好な内容ならば米ドルを買い戻す展開となろう。逆に市場予想を下回る内容ならば、利回りスプレッドの縮小を背景にドル円は113.00トライ、ユーロドルは長期レジスタンスラインのブレイクを想定したい。