Analyst's view
16日の4月米住宅関連指標は総じて市場予想を下回る内容となった。トランプ政策への期待が後退している状況下で米金利が上昇基調を維持するためには、指標データが重要な鍵を握る。具体的な数値で米経済の持続的な成長が確認できれば、FEDが推し進める金融引き締め政策が滞りなく実施されるという市場の期待が高まるからだ。しかし12日の小売売上高以降、冴えない指標データが続いていることで米金利には低下圧力が再び強まっている。6月の米利上げはメインシナリオとして市場で意識され続けるだろう。ただ、この点については徐々に市場も織り込んできており、米金利上昇の材料としての鮮度も次第に失われていくだろう。よって、今後は米指標データが米金利のトレンドを見極める上でより重要なファクターとなる。内容次第で「米金利反発=米ドル買戻し」「米金利低下=米ドル高調整」の展開が想定される。
米指標データ以外で米金利の変動要因となり得るのが、国際商品市況だろう。本日は原油先物相場の動向を注視したい。産油国間での減産延長(9か月間)に対する期待が高まる中、本日発表の米週間石油在庫統計が供給過剰懸念を後退させる内容となれば、株式と金利の反発要因となろう。この場合、外為市場では米ドルを買い戻す動きとなろう。一方、予想外の在庫増加が確認される場合は、供給過剰懸念を再び強めるだろう。この場合、原油先物相場の下落がエネルギーセクターの下落圧力を強めることで、米株では利益確定売り圧力が強まる可能性がある(詳細は11日のレポート「不安材料は国際商品市況」を参照)。原油先物相場と株式の下落は米金利への低下圧力を強めよう。米金利の低下は16日のレポート「米指標データと利回りスプレッド」で指摘した利回りスプレッドの縮小要因となることから、米ドル高の調整がさらに進行しよう。後者の展開となった場合、ドル円はビッドが観測されている112.50および112.00トライを警戒したい。一方、ユーロドルは2016年11月4日高値1.1142レベルを視野に上昇幅が拡大する展開が想定される。