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悪いタイミングでトランプリスクが再燃

Market Overview

16日の海外外為市場は、円高一色の展開となった。トランプリスクの再燃により、この日の米国債券市場では各ゾーンの金利が急低下した。また、海外株式も全面安となったことを受け、外為市場ではリスク回避の円高圧力が高まった。ドル円は111円台を割り込む展開に。本日早朝に110.53レベルを付ける局面が見られた。クロス面も円高一色となり、4月のフランス大統領選挙以降、買い一辺倒だったユーロ円は124円後半から123.41まで急落した。一方、ユーロドルは4日続伸し、昨年11月9日以来となる1.1170レベルまで急伸する局面が見られた。
海外株式市場では、主要な欧米&新興国の株価指数が全面安の展開となった。米株ではダウ平均が前日比-1.78%の2万0606ドル93セントと、4月21日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。株安は米金利の低下圧力を強め、米10年債利回りは2.212%と、こちらも4月21日以来の水準まで急低下する局面が見られた。一方、国際商品市況では、株安&米ドル安が好感されNY金先物6月限が前日比+1.8%と大幅続伸。NY原油先物7月限は、米原油在庫の減少が好感され、こちらも同+0.84%と堅調推移となった。

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Analyst's view

コミー前米連邦捜査局(FBI)長官の突然の解任、そのコミー氏に対しロシアとの不透明な関係が指摘されたフリン前大統領補佐官の捜査を終えるよう求め、さらにはそのロシアに機密情報を漏洩した疑惑までが浮上する等、これでもかというほどの政治スキャンダルがトランプ大統領自身を直撃している。この影響は当然のごとくトランプ政策進行の遅れを市場に想起させる。事実、17日の米国市場(株式 / 債券)はリスク回避ムードに覆われ、その余波は米国外の株式市場と外為市場にまで及んだ。

今年前半のドル円は、トランプ政権の政策運営能力に対する不透明感が最大のリスク要因となり、「ドル安 / 円高」優勢で推移すると筆者は指摘してきた。昨日、それが再燃したことでドル円は米利上げ期待を土台とした上昇ムードが見事に挫かれた(チャート①参照)。市場心理を表すボラティティ(1か月)を確認すると、ドル円のそれはフランス大統領選挙が行われた先月24日の水準まで急拡大している(チャート②参照)。また、通貨オプション市場ではリスクリバーサル(1か月、25D)が再び低下し始めている(チャート③参照)。これら市場心理の悪化を考えるならば、ドル円は節目の110円再トライを警戒したい。そう考える理由は、政治スキャンダルだけでなく、それらが発覚したタイミングにもある。トランプ政策への不透明感が強まっている以上、米ドル高のトレンド形成は金融政策に頼らざるを得ない。米金融政策の動向はファンダメンタルズで判断するしかない。そのファンダメンタルズの状況を客観的に確認できる指標データが市場予想を下回り続けているタイミングで今回のトランプリスクが再燃したことは、米金融政策の先行き不透明感を市場に意識させよう。事実、金利先物市場から算出される6月利上げ確率は60%前後まで急低下している。直近のFEDスピーカー達の言動を考えるならば、6月利上げは未だメインシナリオである。しかし、米政治キャンダルの余波が長引けば、市場は6月以降のトランプ政権&イエレンFRBの政策シナリオに狂いが生じると、先読みするだろう。それは米株の下落要因であり、米金利の低下要因であり、そして米ドル安要因である。


【チャート①:ドル円チャート】

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【チャート②:ドル円とボラティティ】

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【チャート③:ドル円とリスクリバーサル(RR)】

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