Analyst's view
今週も「ロシアゲート」疑惑を巡っては新たな報道があろう。実際、フリン前米大統領補佐官によるトルコからの新たな金銭授受疑惑やロシアによる米大統領選介入疑惑を解明するためにホワイトハウス高官が捜査対象として上がっているという新たな報道があった(米ワシントン・ポスト紙)。「ロシアゲート」にかんする新たな報道は、米ドル相場にとっては十中八九ネガティブ要因となろう。事実、「ロシアゲート」が意識されて以降、米ドル相場の方向性を示すドルインデックスはサポートラインを完全に下方ブレイクし、週足・雲の下限をトライする展開となっている(チャート①参照)。米ドル相場のトレンド決定要因となっている米金利は、株高維持と原油先物相場の反発がサポート要因となり、今年の最低水準2.165%を維持する展開となっている。ただ、最大の金利上昇要因である6月利上げについては市場も織り込んでいるため、今後は期待先行による金利の急反発という展開は想定し難い。目先、唯一の反発要因は良好な米指標データだが、それらでも冴えない内容が続けば、米金利には再び低下圧力が強まることで米ドル相場は「ロシアゲート」と米金利の低下という二重苦に直面しよう。
米ドル安が加速する場合、ユーロが選好される状況が続くだろう。欧州政治リスクの後退を背景に週足の一目雲の上限と長期レジスタンスラインを完全に突破している点を考えるならば、昨年11月7日高値1.1300レベルを視野に堅調地合いを維持するだろう。一方、円相場だが、米金利の低空飛行が続く以上、ドル円は上値の重い展開を想定したい。ショートカバーの限界は、18日安値110.23からの61.80%戻しにあたる112.80レベルまでが限界か。ただ、国際商品市況が反発基調にあり、且つ新興国株式や通貨も堅調推移となっている点を考えるならば、「ロシアゲート」により投資家のリスク許容度が縮小しているわけではない。よって、110円台へ下落しても、ビッドが観測されている110.00を一気に下方ブレイクする状況は考えにくい。ユーロ買いと株高を背景にユーロ円は126.00を再トライする可能性があろう。
尚、ドル円が110.00を割り込み且つクロス円が崩れるならば、その要因は北東アジアの地政学リスク再燃となる可能性がある。