Analyst's view
トランプ政権が予算教書を議会に提出したが、これまで報道されてきた政策を踏襲するにとどまり具体性と新味に欠ける内容だった。乏しい内容の予算教書は、トランプ政策に対する期待を後退させる要因であることから、米株と金利には低下圧力が強まる展開もあり得た。しかし、悲しいほど市場の反応が全くなかった事実は、トランプ政策が市場のメインテーマから外れていることを示唆している。現在のメインテーマは米国の政治動向にあるが、現状、これが米国内における限定的リスクとして認識されているため、米ドル安がむしろリスク選好を促していると、23日のレポート「ロシアゲートはリスク選好要因」で指摘した。よって、再び米ドル高へ反転した際、現在のリスク選好トレンドが維持できるかどうか、特に国際商品市況が反発基調を維持できるかどうか、この点に筆者は注目している。
23日の海外外為市場は上記のとおり、米金利の反発に伴い米ドルを買い戻す動きとなった。CRB指数こそ小反落したものの、米ドル高の局面でも原油先物価格や銅先物価格が堅調推移となった事実を考えるならば、リスクセンチメントの改善傾向には根強さがうかがえる。国際商品市況が反発基調を保つならば、主要株価指数のサポート要因となろう。「商品高 / 株高」は米金利の反発要因ともなろう。ドル円特有のリスク(=米通商政策リスク)はくすぶり続けるものの、世界的なリスク選好を背景にボラティリティ(1か月)が再び低下へ転じていることを考えるならば、110円を再び下方ブレイクする可能性は後退している(チャート参照)。
また、本日以降の米指標データが総じて市場予想を上回る内容となれば、米金利への反発圧力がさらに強まろう。その場合、ドル円は直近安値110.23からの61.80%戻しにあたる112.80レベルまで反発する可能性が高まろう。一方、ユーロドルも行き過ぎた上昇を調整する動きとなろう。この場合、直近高値1.1268からの38.20%戻しにあたる1.11前後を維持できるかが注目される。