Analyst's view
ドル円はFOMC後、大陽線の示現により5月高値114.37レベルを起点とした短期レジスタンスラインを一気に突破した。ただ、16日はリトレースメント50.00%戻し111.60手前の一目基準線でレジストされ小陰線引け。長い上ヒゲが示現した点も考えるならば、継続的な米ドル買いに対する市場の迷いが見られる(チャート①参照)。ただ、イエレンFRBによる金融引き締めスタンスが改めて確認されて尚、グローバル株式市場が堅調さを維持している。且つ、リスク性の高い資源国通貨や新興国通貨も対ドルで下落基調を辿る展開とはなっていない。これらの状況を考えるならば、現在は円高圧力が強まる相場環境ではない。この点は通貨オプション市場のリスクリバーサルも示唆している。
ドル円がこのまま上昇相場へ転じるかどうか、トレンドを左右する上で重要となるのが米指標データだろう。この点は、15&16日のレポート(FOMCにサプライズなし 焦点は指標データへシフト / 調整の継続は米指標データ次第)で指摘した通り。今週は、住宅関連指標と5月景気先行指標総合指数が発表される。16日の冴えない指標データで米金利が低下した事実は、現在の米金利とファンダメンタルズ間における高い順相関の関係を示唆している。今週以降発表される指標データでも同様の展開となれば、米金利の低空飛行状態は継続しよう。この場合、ドル円は再び110円を割り込む展開を警戒したい。逆に総じて市場予想を上回るならば、FOMC前に進行した米金利低下の調整相場(=債券売り / 米金利上昇)が継続しよう。それに連動し、ドル円も上値トライとなろう。111円台で注視すべきレジスタンスポイントは、①14日安値108.81からの50.00%戻し111.60と②日足一目雲が推移している112.00前後となろう(チャート①参照)。111.50、111.80そして112.00にオファーが観測されている点も考えるならば、上述した2つのテクニカルポイントで反落する可能性がある。逆に日足の雲を突破する場合は、113.00トライのシグナルと想定したい。
一方、ドル円の動向を左右する上でユーロドルの動向も注視したい。リスクリバーサルの観点からユーロドルが下落するリスクは後退している。欧州政治リスクの後退とECBの政策変更が意識されているタイミングで上述した米指標データが冴えない内容となれば、米独利回り格差の縮小を背景にユーロドルは1.1300を再びトライする展開となろう(チャート②参照)。その場合、対ユーロでの米ドル売りが、ドル円をレジストする可能性があるため要注意。