Analyst's view
6月米ISM製造業景況指数は57.8と、2014年8月以来の高水準となった。新規受注(59.5→63.5)と雇用(53.5→57.2)が前月からそろって上昇した点を考えるならば、米製造業の堅調さがうかがえる。良好な米指標データを土台とした米金利の上昇幅は日欧金利のそれを上回り、利回り格差は拡大。その結果、外為市場では米ドル買い優勢の展開となった(チャート①参照)。
3日のレポート「米指標データと株式動向を注視」で指摘した通り、注視すべきは米指標データとなろう。そう考える理由は2つある。そのひとつが、上述した相対的な米金利の上昇幅である。米国の景気加速期待を背景とした金利の上昇は、相対的に他国の金利の上昇幅を上回る局面を作り出そう。その結果、外為市場では米ドル安を是正する動きが強まろう。
ふたつめの理由は、米株高の維持として重要な材料になり得るという点である。事実、昨日は良好なISM製造業景況指数が米金利の上昇を促し、その結果、金融セクターが株高のけん引役となった。5日以降の指標データでも同様の内容が続くならば、「米金利の上昇幅拡大+米株高維持→米ドル買い」の展開が想定される。逆に冴えない指標データが続けば、再び米ドル安圧力が強まろう。
ただ、後者の展開となってもドル円相場は底堅い展開となる可能性が高まってきた。背景にあるのは、リスク選好の好循環が形成されている現在の相場環境-①世界的な株高の維持、②原油先物相場の反発基調維持、にある。これら2つの要因は円安圧力を強めるだろう。よって、「冴えない米指標データ→米金利の上昇圧力後退→米ドル安」の展開となっても、上記2つの円売り要因が米ドル安圧力を相殺しよう。また、今年最高値118.60レベルを起点としたレジスタンスラインを突破し、テクニカル面でも新たな強気シグナルが点灯している(チャート②参照)。これらの状況に米金利の反発基調維持も加わるならば、ドル円は5月の戻り高値114.37レベルをトライする可能性があると想定している。一方、ユーロドルは調整相場の局面へシフトしよう。目先の下値焦点として1.1300がサポートポイントへ転換するかどうか、この点に注目したい。