Analyst's view
ドル円は2日連続で113.50レベルがレジスタンスポイントとして意識された。昨日の日足ローソク足では陰のカラカサが示現。高値圏での示現は相場転換の暗示を示唆する。だが、円相場全体の取り巻く環境―つまり①世界的な株高トレンドの維持、②原油先物相場の反発基調―という環境を考えるならば、円高圧力が強まる要因は見当たらない。よって、ドル円が下落するならば、昨日の豪ドル円の下落が示すとおり、米ドル安の材料以外見当たらない状況となっている。
米ドル安要因として目先注視すべきは、冴えない指標データとなろう。良好なISM指数を背景に、3日の債券市場では米金利の上昇幅が独&英金利のそれを上回り「利回りスプレッドの拡大=米ドルのショートカバー」となった。本日以降発表される米指標データが総じてさえない内容となれば米金利に低下圧力が強まろう。それは上述した状況とは逆にスプレッドが縮小することを意味する。そのような展開となれば、ユーロドルは1.1300もしくは短期サポートラインを維持し、その後節目の1.15レベルを目指す可能性が高まろう(チャート①参照)。ポンドドルも再び1.30トライの展開が想定される。
一方、ドル円は上述した相場環境に加え、③黒田日銀による金融緩和政策の継続も考えるならば、下落幅は限定的となる可能性が高いだろう。それでも円高による下落を想定するならば、それは①の要因が崩れる時だろう。この点で注視すべきは、米株高のけん引役となっているハイテクセクターの動向となろう。ナスダック100のボラティリティを確認すると、フランスリスク時の水準をすでに突破していることは6月30日のレポート「株高と金利反発の共存関係」で指摘済み。ただ、「米金利の上昇=金融セクターの上昇要因」、「②の要因=エネルギーセクターの上昇要因」となっている現状を考えるならば、ハイテクセクター内での調整に終わるか、米株全体に株安圧力が波及しても新たな買い場のきっかけとなる可能性がある。また、通貨オプション市場ではドルコール(1か月)への需要が高まりを見せ、且つリスクリバーサル(25D)にも大きな変動が見られない。以上の状況を考えるならば、目先のドル円は、5月の戻り高値114.37レベルを視野に底堅い状況が続く可能性が高まってきた(チャート②参照)。