Analyst's view
6日の欧米市場は「株安・金利上昇」の展開となった。昨日の動きだけをもって、欧米の金融引き締め観測がリスク回避の引き金になる、と考えるのは早計だろう。6月27日以降、急反発した金利の動向に金融セクターは株高で反応し、原油先物相場も反発基調を維持し、さらに外為市場ではリスク性の高い資源国通貨買いと円売りが発生している現状も考えるならば、リスク選好トレンドは依然として根強いからだ。
欧米金利の反発が株式市場のネガティブ要因として捉えられるならば、そのきっかけは指標データにあろう。目先注目すべきは、世界経済のけん引役である米国のデータだろう。本日は6月雇用統計が発表される。これまでの金融緩和政策により雇用の増加、つまり「量」についてはすでに成果を上げている。この点は4.3%まで低下した失業率が示唆している。このため、市場の焦点は労働市場の「質」、つまり賃金動向にシフトしている。前年比で2.5%と抑制された賃金の伸びが今回も焦点となるだろう。賃金の加速が確認されるならば、「賃金増加→個人消費拡大→景気拡大→インフレ上昇期待」のサイクルが意識されることで、金融引き締め観測の負の側面(=企業の借入コストの増加)が意識されることなく「株高・金利上昇」の展開となろう。外為市場では金融政策のコントラスト(=引き締めの欧米 vs 緩和継続の日本)が意識され、円安優勢の展開となろう。一方、賃金の伸びが抑制されるならば、上述したサイクルが意識される可能性が低いことから米金利の伸びは抑制され、欧州通貨買いが米ドル買いに先行する可能性が高い。ただ、株式市場では株高要因と捉えられるだろう。
前者(=賃金上昇)の場合、ドル円の上値焦点は、5月の戻り高値114.37レベルのトライとなろう(チャート①参照)。一方、後者(=賃金抑制)の場合は、上値の重い展開となるだろうが、「株高・原油反発」を考えるならば下落幅は限定的だろう。まずはビッドが観測されている112.50レベルの維持が焦点となろう。一方、ユーロドルは節目の1.15トライが焦点。この水準をトライするシグナルとして、1.1445前後に観測されているオファーをこなすことが出来るかどうか、この点が注目される(チャート②参照)。