Analyst's view
14日に発表された6月の米国費者物価コア指数は前月比で0.1%増と、市場予想の0.2%増を下回った。一方、前年同月比では1.7%増で横ばい推移となった。2017年に入り、米国のインフレ鈍化が鮮明となっているが、今回のコアCPIでもそれが確認された(チャート①参照)。この結果を受け、米債券市場では金利に低下圧力が強まり、米ドル相場の圧迫要因となっている。だが、ドル円は112円ミドルを挟んで底堅い展開となっている。米金利に再び低下圧力が強まっているにも関わらず、ドル円が112円台を堅持できる理由は、株高トレンドの維持にあろう。欧米株式のボラティリティ指数を確認するとVIX(S&P500)、VSTOXX(Stoxx50)ともに低位での安定推移となっている。特にVIXは10ポイントの水準を割り込む展開となっている。「米国のインフレ鈍化→緩やかな金融引き締めペース」への期待が投資家間で高まる一方、「米国のインフレ鈍化→米金利低下→米ドル安」が国際商品市況の下落圧力を相殺する要因となり、「ボラティリティ指数の低下=株高維持」に貢献している。まさに良いとこ取りとも言えるリスク選好状況を意識した円安圧力が続く限り、ドル円が一気に110円を割り込む可能性は低いだろう。
今週の円相場のトレンドは、上述した株式動向に左右されるだろう。その株式だが、最も注視すべきは四半期決算が佳境を迎える米株となろう。大手金融機関に続き好決算となれば、米株は高値圏を維持する攻防が続くだろう。株高維持は円安要因となり、米ドル安圧力の相殺要因となろう。円相場以外で注視すべきは、ユーロ相場となろう。ユーロドルは節目の1.15を目前に足踏み状態だが、通貨オプション市場ではユーロコールへの需要が根強い。これは、市場関係者がユーロ相場について未だ強気のスタンスであることを示唆している。1.15ブレイクの材料として注視すべきは、20日のドラギ会見となろう。ここで金融政策の変更が改めて意識されるならば、米独10年債利回り格差はさらに縮小しユーロ高圧力が強まろう(チャート②参照)。対ユーロで米ドルがさらに下落するならば、その影響はドル円の圧迫要因となろう。