Analyst's view
ユーロドルはついに節目の1.15の突破に成功した。18日のレポート「今週の焦点は米株とユーロ相場」で指摘したが、ユーロ相場がドル円の圧迫要因となる可能性がある。その理由は2つ。第一の理由は、ユーロ高は米ドル安を加速させるからである。「ユーロ高→米ドル安」の流れが続けば、ドル円を含めた他のドルストレートにも米ドル安圧力が波及しよう。もうひとつの理由は、ユーロ高が欧州株安圧力を強める可能性があるからだ。事実、18日の主要な欧州株はユーロ高が一因となり全面安となった。欧州株のボラティリティ(VSTOXX)を確認すると、4月のフランス大統領選挙時の水準と比較すれば低位で推移している(チャート①参照)。だが、リスク回避圧力は現在のような低ボラティリティの状況下で発生する。その引き金として、目先注視すべきは20日のドラギ会見だろう。金融緩和政策を変更するシグナルを発信してくれば、欧州株安を震源とした株高調整圧力が米株に波及する可能性がある。インフレ鈍化とトランプ政策への不透明感が強まっているタイミングで、米株にも売り圧力が強まるならば、米金利はさらに低下しよう。米金利の低下は米ドル安圧力を強めるだろうが、「米金利低下=米ドル安」と「株式調整=円高」のダブルパンチにより、ドル円は最も下落幅が拡大する可能性がある。
金融緩和からの脱却観測を背景に上昇トレンドを維持するユーロドルだが、明日のECBイベント前に期待先行で上昇してきた点を考えるならば、本日はユーロ高調整地合いを想定したい。また、標準誤差回帰分析バンド上限での攻防となっている点を考えるならば、テクニカル的にもユーロ高の調整が入ってもおかしくないタイミングである(チャート②参照)。ドル円は昨日下値をサポートした日足基準線111.66レベルを本日の攻防分岐と想定したい。詳細はテクニカルレポートにて。