Analyst's view
14日のレポート「株式動向次第でドル円は108円ブレイク」で指摘したとおり、現在のドル円は株式の動向次第で上下に振れる状況となっている。通常ならば、米金利の動向がドル円のトレンド決定要因である。しかし2017年以降、インフレの鈍化がトレンド化し、イエレンFRBによる今後の利上げペースに対する不透明感も意識され始めている状況を考えるならば、米金利は今年後半も低空飛行状態が続く可能性が高まっている。米金利がその状況を維持する限り、ドル円には米ドル安圧力が常にかかるだろう。しかし、円相場全体を俯瞰すれば、2006年以降、日米の金融政策のコントラストをきっかけに「株高=円安」「株安=円高」という関係が構築されている。2017年は世界的な株高トレンドが続いているため、「米ドル安 vs 円安」を背景にドル円は108円台を維持する状況が続いている。
本日も株式動向にらみの展開となろう。リスクイベントに敏感なVIX(米株)とVSTOXX(欧州株)は急低下しており、北東アジアの地政学リスクをひとまず消化したことがうかがえる(チャート①参照)。米朝間で新たな緊張が高まらない限り、本日の株式市場も堅調に推移する可能性が高い。
株高維持の場合、本日のドル円は7月11日高値114.50を起点とした短期レジスタンスラインの突破が焦点となろう。今日現在、このラインは109.85前後で推移している(チャート②参照)。109.90-110.00にかけてはオファーの観測あり。逆に北東アジアの地政学リスクが再び高まり株安となれば、8月11日安値108.73の下方ブレイクが注目される。108.70にはビッド、下の水準にはストップが観測されている(チャート②参照)。