Analyst's view
今月11日以降、世界的に株高回帰のムードが高まっている。リスクイベントに敏感なVIXおよびVSTOXXも低下基調にあることを考えるならば、現在の株式市場は北東アジアの地政学リスクの後退を意識し、リスク選好トレンドへ回帰していると言えよう。また、外為市場でもユーロ高リスクが後退している。ユーロドルは、今月2日高値1.1910を起点とした右肩下がりの短期レジスタンスラインで上値の重い状況となっている(チャート①参照)。リスクリバーサルに大きな変動は見られず、またインプライドボラティリティ(1か月 / 25D)も未だ8.0%近辺の低水準で推移している点を考えるならば(BREXITリスクとフランスリスク時は13.2%前後)、ユーロドルは下落トレンドへの転換よりも調整色の強いレンジ相場へシフトする可能性が高い。ユーロ高の一服は、欧州株にとってポジティブ要因となろう。
上述したリスク要因の後退は、ドル円の反発をサポートしよう。現状、北東アジアの地政学リスク以外で株高トレンドを後退させるリスク要因は見当たらない。よって、再び米朝間の緊張が高まらない限り、世界の株式市場は株高トレンドへ回帰しよう。そのような展開となれば目先のドル円は、反発基調を維持する可能性が高い。だが、北東アジアの地政学リスクは依然として流動的であり、且つ米インフレ鈍化とそれに伴うFEDの利上げペースに対する不透明感も根強い。前者の地政学リスクの行方を読むことは難しい。よって市場は、今後発表される具体的な指標データで米インフレ鈍化の行方を注視しよう。昨日の7月小売売上高同様、良好な指標データが確認されるならば、米株高維持と米債券市場での調整(=債券売り / 金利反発)のトレンド背景に、レンジの上限である114.50レベルを3度トライする展開が想定される(チャート②参照)。一方、ユーロドルは、日足基準線を下方ブレイクし、1.15レベル(リトレースメント50.00%)までの調整の可能性が高まろう(チャート①参照)。