Analyst's view
海外株式の下落を意識し、本日早朝時間からドル円は109円ミドル割れの局面が見られる。再三指摘しているとおり、現在のドル円は「米ドル安 vs円安」のせめぎ合いとなっている。2017年以降、トランプ政権の迷走とインフレ鈍化が米金利の低下圧力を強め続けている状況を考えるならば、外為市場では米ドル安に対する売り圧力が常にかかり続けるだろう。よって、現在のドル円のトレンド決定要因は株式動向にあると言える。
その株式だが、日米欧の各ボラティリティ動向を確認すると、米株(VIX)こそ上下に振れる状況となるも、日欧のそれらは未だ低水準での推移が続いている。VIXにしてもフランスリスクを超える水準まで上昇しているわけではない(チャート①参照)。北東アジアの地政学リスクで新たな緊張が発生するか、もしくはトランプ政策への不透明感と米株がリンクしない限り、昨日のような調整を繰り返しながら、米株をはじめとした世界的な株高トレンドは続くだろう。
本日のドル円も株式にらみの展開となるだろう。「海外株安+円高」が意識され、国内株式は軟調地合いが想定される。このため東京時間は109.00のトライを警戒したい。その後のトレンドは海外株次第となろう。特に急落した米株の動向が注目される。上述したリスク要因を背景にVIXがフランスリスク時の水準を超えてくるならば、ドル円は今月11日安値108.73を下方ブレイクする可能性がある(チャート②参照)。クロス円も円高一色の展開となろう。ようやくECBサイドが通貨高に対するけん制を仕掛けてきたことを考えるならば、ユーロ円が128.00(131.40からの38.20%戻し)を下方ブレイクし、日足雲の攻防へシフトするかどうか、この点を注視したい(チャート③)。一方、トランプリスクを後退させる材料、例えば8月 ミシガン大学消費者態度指数速報値が市場予想を上回る等の好材料があれば、「株反発=円売り優勢」の展開が想定される。この場合、ドル円は110円台への再上昇が焦点となろう。