Analyst's view
米紙ワシントン・ポスト(電子版)は上院・共和党が法人減税の実施を1年延期することを検討していると伝えた。本来ならば米金利の低下要因となるはずだが、昨日は各ゾーンの利回りはむしろ反発。米ドル相場のトレンドに影響を与える10年債利回りは2.30%台の水準を維持した。「議論はなお流動的」と報じられていることも考えるならば、共和党内では未だ大規模減税に対する統一されたスタンスが確立されていないことがうかがえる。この件にかんする目先の焦点は、下院の審議スピードにあろう。ライアン下院議長が言及した今月23日までに可決できれば米国市場はリスク選好で反応しよう。だが財源確保の問題を含め、今後共和党内で異論が噴出すれば、議会審議のスピード感は後退しよう。この点は、米金利の低下要因として常に警戒しておきたい。
本日の注目イベントは米中首脳会談となろう。米ドル安圧力を強めるリスクイベントとして注視したい。米ドル安圧力が強まる場合、ドル円は下値トライの展開が想定される。だが、日米株高トレンドに変化が見られない点を考えるならば、113円台を維持する公算が高い。テクニカル面での焦点は21日MAの維持となろう(チャート①)。113.20、113.10そして113.00にはぞれぞれビッドが観測されている。一方、ユーロドルは10日MAを上方ブレイクする展開を想定したい(チャート②)。
米中首脳会談が無風ならば、ドル円は上値トライを想定したい。本日の上値攻防分岐は114.50となろう。このレベルから114.70にかけて再びオファーが並び始めている。一方、ユーロドルは引き続き1.16を挟んだ展開を想定したい。上値が徐々に切り下がっている点を考えるならば、警戒すべきはダウンサイドにあろう。1.1550、1.1540および1.1500にはそれぞれビッドの観測あり。