Market Analysis
値ごろ感から米長期金利は節目の3.0%手前で低下基調へ転じている。「米長期金利低下→米株高」という相場状況を考えるならば、金利動向次第で再び米株が調整地合いとなる可能性があろう。しかし先週以降、株式ボラティリティは低下基調にある。米指標データで景気拡大の維持を示す内容が続いている点も考えるならば、米長期金利の上昇それ自体は米株高の調整材料とはなっても、急落の要因とはならないだろう。
問題は金利の上昇スピードにある。この点を見極める上で今週は、パウエル新FRB議長の議会証言(27日に下院/翌月1日に上院)が重要イベントとなるだろうが、特に注視すべきはインフレ見通しについての言及となろう。パウエル氏は過去に労働市場の動向次第でインフレ動向が左右される旨の発言をしている。その労働市場は「量=雇用者数」のみならず、「質=賃金上昇」の面でも上昇圧力が増している。FOMC議事録(1月30日-31日開催分)で、昨年12月時点から経済成長を上方修正した点も考えるならば、パウエル氏は景気拡大に伴うインフレ上昇圧力の高まりに言及することで、利上げペースの加速シグナルを発信してくる可能性がある。この場合、米長期金利には再び上昇圧力が高まろう。3.0%を一気に突破する上昇となれば、ユーロドルは米独利回り格差の拡大を背景に、短期サポートラインを一気に下方ブレイクしよう(チャート①)。対ユーロでの米ドル高は、米ドル相場全体の押し上げ要因となろう。しかしドル円は、株式動向次第でトレンドが左右されよう。米長期金利が3.0%を一気に突破する局面では、米株が再び調整地合いへ転じる可能性がある。「米長期金利の急上昇→米株高の再調整→世界同時株安の再来」となれば、米ドル高圧力よりも株安の方に反応し、円高主体で直近安値105.52及びビッドが観測されている105.00をターゲットに下落幅が拡大しよう(チャート②)。一方、パウエル証言後、マイルドな金利上昇となれば米株高の展開が想定される。ドル円は短期レジスタンスラインおよびオファーが観測されている108.00を突破する展開を想定したい。逆にパウエル証言が米長期金利の低下圧力を強めるならば、ドル円は米ドル安圧力の方に反応し下値トライとなろう。ユーロドルが1.25ミドルを完全に突破する米ドル安となれば、ドル円は105.00トライの展開を想定したい。