Analyst's view
イエレンFRB議長は12日、米下院金融サービス委員会の議会証言で年内のバランスシート開始について改めて表明した。一方、今年に入り鈍化傾向にあるインフレ動向についても言及。追加利上げはインフレ次第という慎重姿勢を示した。6月FOMC後の会見内容や11日のブレイナード理事による講演内容を踏襲するかたちとなったことから、米債券市場は金利低下(=債券買い)で反応。米金利の低下は米ドル安圧力を強め、ドル円は113円割れの局面が見られた。
5日に公表されたFOMC議事録(6月13-14日開催分)では、年内のバランスシート縮小開始についてFED内で意見の相違があることが判明した。しかし、昨日のイエレン証言を受け、年内開始がコンセンサスとして今後確立されるだろう。だが、市場はこの点について全く反応しなかった。米金利の低下と米株の上昇という反応を考えるならば、市場はむしろ鈍化傾向にあるインフレとそれに伴う追加利上げペースの不透明感の方を重要視していることがわかる。それ故、明日の米指標データ、6月CPI(特にコア指数)と同月小売売上高は市場の注目を集めるだろう。
本日のドル円相場は明日の米指標データを控え、113.00-114.00のレンジ相場が想定される。1か月物リスクリバーサルが徐々に拡大傾向(11日-0.95→12日-1.325)にある点を考えると、サポートポイント112.80レベルの攻防が目先の焦点。テクニカル面では38.20%戻しをクロスし、112円ミドルレベルまで上昇している21日MAの維持が焦点となろう。尚、112.50にはビッドが観測されている。一方、ユーロドルは、先月26日以降サポートラインとして意識されている10日MAの攻防を注視。焦点は米新規失業保険申請件数となろう。ドラギECBによる政策変更期待を背景に独金利に対する上昇圧力が続く中、市場予想を下回れば米独利回り格差の縮小傾向が継続し、10日MAを維持する展開が想定される。一方、トップサイドの焦点は1.15トライで変わらず。1.1500にはオプションバリアの観測あり。