Analyst's view
12日に発表された4月CPIコア(前年同月比)は1.9%増と市場予想の2.0%増以下となった。今年2月以降、CPIは低下基調にあるが、2015年後半から続くインフレの上昇トレンドを考えるならば、FEDの6月利上げ期待を後退させるインパクトはない。目先の米経済の焦点はインフレではなく、個人消費の動向だろう。1-3月期米GDP速報値(前期比年率)が0.7%増に急減速した主因は個人消費の低迷にあった。そして4月小売売上高コア(前月比)も0.3%増と、市場予想の0.5%増を下回る内容となった。金利先物市場から算出される6月利上げ確率が70%前後の水準を保っている点を考えるならば、今回の小売売上高の内容が米利上げ期待を後退させるインパクトはないだろう。だが、米指標データが米金利のトレンド決定要因である点を考えるならば、個人消費の伸びが抑制されていることが確認されたタイミングで、今週発表される指標データまで市場予想を下回るならば、米金利の調整圧力を強めよう。米金利の低下は外為市場での米ドル高圧力の後退要因となり、結果ドル円での調整を促そう。
米金利の調整要因として注視すべきもうひとつの要因は、北東アジアの地政学リスクだろう。「環境次第で対話の可能性がある」とトランプ政権が秋波を送る中、北朝鮮が弾道ミサイル発射を強行したことは米国サイドの反発を招く恐れがあろう。また、中国が主導する「一帯一路(海と陸の現代版シルクロード)」構想を話し合う初の国際会議が北京で開幕するタイミングに合わせての発射ということもあり、これまで対話での解決を模索してきた中国との関係悪化も地政策リスクを高める要因となり得る。週明けのオセアニア市場ではリスク回避の円高圧力が強まっているムードは感じられない。だが、地政学リスクを背景に株式に売り圧力が強まるならば、外為市場では円高圧力が強まろう。また、本日海外時間の反応も見る必要があろう。
今週のドル円はダウンサイドリスクを警戒したい。4月19日以降、一本調子で上昇し続けてきただけに、冴えない米指標データと地政学リスク再燃の可能性は恰好の調整材料となり得る。今週の米指標データでも市場予想を下回る内容が続く場合は、113.15前後で推移している10日MAを下方ブレイクし、まずは112.00レベルまでの調整を想定したい。一方、日足転換線を大陽線で再び上方ブレイクしたユーロドルは、節目の1.10再トライを想定したい。