Market Analysis
サンダース米大統領報道官は7日、安全保障に基づき“ケースバイケース”、“国別”に関税対象を決めると述べた。トランプ米大統領は輸入制限の対象に例外を設けない姿勢を示しただけに、米国株式は下げ幅を縮小した。柔軟に対応する可能性が見えてきた点は、米通商政策リスクの後退要因である。しかし、トランプ氏の主張と早速相違が見られ、且つコーン米国家経済会議(NEC)委員長の突然の辞任も考えるならば、トランプ政権が混迷しているということでもある。通商政策リスクと同様、米政治の混迷も米ドル安圧力を強める要因である。また、このリスクは米長期金利の上昇要因にもなり得る。通商政策リスクは米ドル安経由で金利上昇圧力を高める一方、米政治の停滞リスクは税収減の穴埋め議論の停滞につながることから、財政悪化懸念経由で金利の上昇圧力を強める要因となり得る。
米株のボラティリティに大きな変動は見られず、米長期金利が緩やかな上昇基調を保っている間は(チャート①)、円安が散見されよう。ドル円はビッドが観測されている105.00を下限と想定し、短期レジスタンスラインおよび21日MAの攻防を注視する状況が続こう(チャート②)。日足転換線の突破は、上記のテクニカルをトライするシグナルと想定したい。106.50と107.00にはそれぞれオファーの観測あり。一方、ユーロドルはECB理事会までは小動きで推移しよう。今回の理事会で大きな政策変更はなく、またフォワードガイダンスの変更も先延ばしする公算が高い。よって焦点はドラギ会見となるが、こちらでも新たな材料が提供される可能性は低い。直近安値1.2153から最大2.4%まで急上昇した経緯もあり、ECB理事会後のユーロドルは調整相場(=ユーロ売り/米ドル買い)を想定。だが、域内のファンダメンタルズが堅調であり、且つドイツ政治のリスクが後退したタイミングを考えるならば下落幅は限定的だろう。21日 / 10日MAでサポートされる展開を想定したい(チャート③)。一方、金融政策の変更についての言及はなくとも、ファ ンダメンタルズの見通しに強気のスタンスを示してくるならば、1.24を挟んだ堅調推移を想定したい。
【チャート①:米長期金利 / 米株ボラティリティ】