Market Analysis
2月の平均時給および同月消費者物価指数を受け、直近の米長期金利は2.9%前後でキャップされる状況が続いている。しかし、今週のFOMCで最新のFF金利予測が年4回の利上げを示唆するならば、当然米経済の成長にも自信を示してくるだろう。よってこのケースでは、米長期金利の急上昇を背景に米ドル相場は欧州通貨や資源国通貨に対して素直に上昇する展開となろう。だが、米長期金利の急上昇が嫌気され株式と国際商品市況に下落圧力が強まるならば、ドル円は下値トライの展開となろう。特に注視すべきは米株の動向である。チャート①を確認すると、米長期金利がキャップ状態へシフトしたタイミングで、米株のボラティリティ拡大が一服していることがわかる。これは、現在の米株のリスク要因は米国政治ではなく、長期金利であることを示唆している。よって、米長期金利がFOMC後に急上昇する展開となれば、株安圧力が強まる展開が想定される。「株安時の円高」という相関性は2018年も健在であること、そして徐々に上値が切り下がり、短期リスクリバーサルが下方へ拡大傾向にある点も考えるならば、米長期金利の急上昇は105円トライの可能性を高める要因として警戒したい。一方、昨年12月時点での利上げペースが維持されるならば(年3回)、パウエルFRBが示す経済見通しに焦点がシフトしよう。この点で楽観的なスタンスを示すならば、やはり外為市場では米ドル買いの展開となろう。焦点はやはり米長期金利の反応だが、利上げペースが維持される点を考えるならば、緩やかな上昇の展開が想定される。この場合、米株は上値トライの展開となろう。ドル円は、米国市場のリスク選好相場(=緩やかな金利の上昇/ 株高)を背景に反発基調を強めよう。このケースの場合、108円を視野に戻り高値の水準を見極める展開となろう。だが、米政治リスクが日に日にい高まっている状況を考えるならば、現時点では108円前後で上値がレジストされる展開を想定したい。ドル円のテクニカルポイントはチャート②を参照。
一方、ユーロドルだが、引き続き1.2170-1.2500をコアレンジと想定し、タカ派のFOMCならば1.2170トライを警戒したい。一方、「利上げペースの維持 /楽観的な経済見通し」のケースでもユーロドルは下値トライとなるだろう。だが、タカ派のFOMC議事録が公表された後の動向を鑑みるに、ボックス相場(=1.2170-1.2500)の継続を想定したい。ユーロドルのテクニカルポイントはチャート③を参照。
【チャート①:米長期金利 / 米株ボラティリティ】