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イエレンFRB内のコンセンサスを探る展開へ

Market Overview

20日の海外外為市場に明確な方向感は見られなかった。北米勢の不在や次の材料待ちムードが漂い円相場はレンジ内で推移。ドル円は113円前半でこう着状態。クロス円では豪ドル円やNZD円が堅調に推移したものの、全体的に大きな変動は見られなかった。ユーロドルも5日MA(1.0616前後)に絡んだ売り買い交錯の展開に。ショイブレ独財務相が「ドイツにとってユーロのレベルは低すぎる」と発言したが、新味に欠けたことから外為市場では材料視されなかった。

欧州株式は通信株や鉱山株に買いが入り堅調に推移した。STOXX欧州600は、今月15日以来となる高値水準まで反発する局面が見られた(高値:371.89ポイント)。一方、欧州債券市場は、仏大統領選に関する世論調査で、極右政党の国民戦線(FN)を率いるルペン党首の支持率が伸びているとの報道が仏国債売りを促した。対照的に安全資産の独連邦債が買われた。昨年夏以降、仏独10年債利回り格差の拡大傾向が続いているが、昨日は2012年後半以来となる水準(77.2bp)までその格差が拡大した。

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Analyst's view

今週以降の外為市場は、「3月利上げがイエレンFRB内のコンセンサスか否か」、この点を探る展開となろう。そこで重要なファクターとなってくるのが、米指標データとFEDスピーカーの言動である。今週は、米国の個人消費動向を左右する住宅関連指標の発表が相次ぐ。だが、米指標データ以上に重要なファクターは、後者の方となろう。20日のレポート「3月利上げ観測を左右する材料」で指摘した通り、イエレンFRB議長とフィッシャー副議長は3月FOMCを1か月後に控えたタイミングで利上げについて前向きなスタンスを表明してきた。他のFEDメンバーからも同様の言動が聞かれれば、各市場は「イエレンFRB内のコンセンサスは3月利上げ」という点を意識せざるを得なくなる。特に注目されるのは、ハト派と中立派の言動だが、本日はハト派と目されるカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁がFRBの役割と経済に関して講演する予定となっている(日本時間22時50分予定)。カシュカリ氏が利上げについて前向きな言及をするならば、イエレンFRBは3月利上げの地ならしを開始したと米国債券市場で受け止められ、米金利は反発しよう。それに伴い外為市場では米ドル相場への買い圧力が強まろう。ドル円は114円台の再トライが想定される。テクニカル面では、111.60からの38.20%戻しにあたる114.30前後の攻防が注目される。一方、対ユーロでも米ドル高圧力が強まろう。仏大統領選が独連邦債への資金シフト(=独金利低下)を促しているタイミングであることを考えるならば、米独金利差拡大観測を背景にユーロドルは今月15日安値1.0521レベルを視野に下落幅が拡大しよう。

また、日本時間22日午前2時にハーカー・フィラデルフィア連銀総裁が経済見通しについて講演する予定となっている。米経済の先行きに強気の見方を示せば、米金利と米ドル相場の押し上げ要因となる可能性がある。だが、元来タカ派のハーカー氏が3月利上げの可能性を示唆する言動を行っても米金利と米ドル相場の上昇幅は限定的となろう。


【チャート①:ドル円】

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【チャート②:ユーロドル】

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