Analyst's view
23日の米国株式市場では、主要3市場がそろって下落した。メキシコ国境沿いの壁を建設する予算を計上するため、トランプ米大統領が政府機関の閉鎖も辞さない姿勢を示したことが意識された。筆者が注目しているのは、メキシコ問題をきっかけにトランプリスクと米株がいよいよリンクするかどうか、この点にある。2017年以降、米金利と米ドル相場はトランプリスクとリンクし低下 / 下落し続けている。だが、米株だけはトランプリスクを無視し、上昇基調を維持してきた。しかし、このリスク(=人事の混乱 / 北東アジアの地政学リスク)があらためて意識され始めて以降、上昇のけん引役であるハイテク株には売り圧力が強まり、ナスダック100は上値を切り下げる展開となっている。それはS&P500も同様である(チャート①参照)。だが、トランプリスクが意識された5月のボラティリティ水準と現在のそれを比較すると、未だ低水準にある(チャート①参照)。よって、現在の上値切り下げは、単なる調整と捉えることができる。だが、上述したメキシコ問題は、4つの理由 ― ①選挙の公約違反とそれに伴う支持層のさらなる離反、②支持率低迷によるトランプ政権のさらなる迷走と政策(=減税/ インフラ投資 / 規制改革 / 国境調整税)の頓挫、③財政赤字の拡大、④デフォルトリスクー が意識され、トランプリスクと米株がリンクさせる要因となり得る。また、米国外では北東アジアの地政学リスクがくすぶり続けている。まさに内憂外患といったところだが、それでも米株が最高値圏を維持するならば、米金利の低下圧力を後退させる唯一の要因であり続けるだろう。逆に米株が崩れる場合、米金利の低下圧力はさらに増そう。
ドル円は引き続き108.00-111.00のレンジ相場を想定したい。だが、昨日110円の上昇にすら失敗した点を考えるならば、レンジの下限トライの可能性は高まっている。下値トライとなる場合、まずはサポートポイント108.60前後の維持が焦点。このレベルを下方ブレイクするならば、108.00トライを警戒したい(チャート②参照)。一方、本日のユーロドルは、引き続き1.17-1.19のレンジで売り買いが交錯する展開を想定したい。テクニカル面では、短期レジスタンスラインとサポートラインの攻防が焦点となろう(チャート③参照)。