Analyst's view
今週は、日米そして英国の中銀イベントが予定されている。最も注視すべきは英中銀(BoE)イベントとなろう。政策金利と資産購入枠の発表に、議事録と四半期インフレ報告の公表、さらにはカーニー総裁の会見が重なる11月2日のスーパーサースデイでは、BoEが政策変更に踏み切りやすいと市場で言われている。9月のCPIは前年比で3.0%まで上昇し、且つコアCPIも同2.7%と政策目標の2.0%前後をはるかに上回っている。ポンド安を背景に急騰するインフレ動向を考えるならば、スーパーサースデイでの利上げを市場が織り込むのは妥当と言える。
今回のBoEイベントの焦点は、利上げそのものではなく、その持続性にあると筆者は考えている。インフレの上昇とは対照的にGDPは2016年Q3を境に低下基調へ転じている(チャート①)。第3四半期GDPの速報値こそ市場予想を上回ったが、EU離脱交渉に伴う英国経済の不透明感は払しょくし切れていない。カーニーBoEがこれらの点を意識し追加利上げに慎重姿勢を示すならば、利上げを背景としたポンド買いは一過性の現象で終わる可能性があろう。一方、逆のスタンスを示す場合は持続的なポンド高の展開を想定したい。後者の展開となる場合、注視すべきはユーロドルへの影響だろう。米欧間に加え、英欧間における金融政策のコントラストまで鮮明となれば、ユーロポンドの下落がユーロドルのさらなる押し下げ要因として影響する可能性があるからだ。スペインの政治リスクが激化する可能性がくすぶっているタイミングも考慮するならば、カーニーBoEのタカ派スタンスはユーロドルの下落圧力を強める要因となり得る。
今週のユーロドルの下値攻防分岐は1.15を想定したい。直近高値1.2092からの38.20%戻しを下方ブレイクしている点を考えるならば、BoEのスタンス次第でこのレベルをトライする可能性がある。また、ユーロドル下落の要因として、次期FRB議長の人事も影響しよう。一方、BoEイベントがハト派色の強い内容となり、且つ次期FRB議長にハト派の人物が就任すれば(就任観測が高まれば)、ユーロの買戻し圧力が強まろう。この場合、まずは1.1660レベルがサポートポイントからレジスタンスポイントへ転換しているかどうかを確認したい(チャート②)。