Analyst's view
ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)をはじめとする米メディアは、トランプ米大統領が次期FRB議長に現FRB理事のパウエル氏を指名すると報じた。これに対する米ドル相場と米10年債利回りの反応は今のところ限定的。今回の人事を受け、一時的に「米金利の低下→米ドル売り」局面が散見される可能性はある。しかし、FRBの業務に通暁し且つハト派のパウエル氏が次期FRB議長に就任することは、米国株式市場の関係者にポジティブ要因として捉えられよう。よって、米ドル安圧力が強まっても、株高を背景としたリスク選好相場がその影響を相殺することでドル円は底堅い展開が継続するだろう。本日も上値攻防分岐である114.50を視野に堅調地合いを想定したい。テクニカル面では2アベノミクスの最高値を起点とした長期レジスタンスラインの攻防が焦点となろう(チャート①)。投機筋の円ショートポジションの調整等で反落しても、21日MA(113.60前後)までの下げならば調整の範囲内と想定したい。
本日、最も注視すべきはスーパーサーズデイを迎えるBoEイベントとなろう。この点についての考察は、先月30日のレポート「BoEイベントとユーロドル」を参照されたし。今回の焦点は利上げではなく、インフレ見通しと追加利上げに対するカーニーBoEのスタンスにある。2016年Q3以降、英国のGDPは再び低下基調を辿っているが、インフレの上昇に対する懸念の方にカーニーBoEの意識が向いていることが確認されるならば、米欧のみならず英欧間における金融政策のコントラストまでが意識されよう。この場合、ユーロポンドの下落圧力がユーロドルに波及する展開を警戒したい。1.1660レベルがレジスタンスポイントとして意識されているタイミングでタカ派のスーパーサーズデイとなれば、先月27日安値1.1574トライを警戒したい。一方、FRB人事や税制改革期待の後退等を背景に米ドル売り圧力が強まれば、1.1660台の攻防へとシフトしよう。突破に成功するならば、テクニカル面では10日MA(1.1690前後)まで反発する可能性あり。