Analyst's view
米国の8月コアPCE指数は前年同月比で1.3%へと低下(チャート①参照)。インフレ鈍化のトレンド化があらためて確認された。この状況が一時的な現象であるというFEDの指摘の正しさを確認するため、市場は9月平均賃金の伸びに注目しよう。上述のとおり4月以降、前年同月比で2.5%と抑制状態となっている賃金の伸びが加速すれば、インフレ鈍化からの脱却期待と利上げ期待を背景に「米金利上昇→米ドル高」の展開が想定される。
ユーロドルは、米独利回り格差の拡大を背景にビッドが観測されている1.1700を下方ブレイクし、日足雲の攻防へシフトするだろう。雲中の下値焦点は1.1650レベルおよび89日MAとなろう(チャート②参照)。一方、ドル円は上値トライの展開が想定される。テクニカル面での焦点は、7月戻り高値114.50を起点とした短期レジスタンスラインの突破となろう。このラインは今週、113.20 → 113.10で推移する。また、113.00から113.50にかけては断続的にオファーが並んでいる。目下のところ、米金利の上昇は金融セクターの上昇要因となっている。このため割高感が意識されているハイテクセクターで売り圧力が強まっても、米株高トレンドに大きな変化は見られないだろう。「金利上昇 / 株高」ならば、短期レジスタンスラインを突破し114円台を目指す可能性が高まろう。逆に平均賃金をはじめ、9月ISM指数が市場予想を下回るならば、米ドル相場は売り優勢の展開が想定される。米株も利益確定売りに圧され、その過程で円を買い戻す動きが散見されよう。
尚、指標データ以外で注視すべきは、本日より目白押しとなっているFEDスピーカーの講演内容となろう。4日にイエレンFRB議長の講演が予定されている。