Analyst's view
トランプリスク、北東アジアの地政学リスクそしてインフレ鈍化を受け、米ドル相場との相関性が高い10年債利回りは今年7月以降、低下の一途をたどっている(チャート①参照)。しかしリスク回避圧力が残る中、8日は反発。週末の北朝鮮リスクをひとまず乗り切ったことを考えるならば、節目の2.0%トライの前に米債券市場は一度調整相場となる可能性があろう。米金利が反発すれば、米株では金融セクターを中心に押し目買いの圧力が強まろう。外為市場では米ドルのショートカバーを想定し、ドル円はひとまず21日MA(今日現在109.40前後)まで反発する可能性があろう。一方、ユーロドルは1.18レベルまでの「ユーロ安 /米ドル高」の調整相場を想定したい。
上記の予測を阻む要因として、今週注視すべきは2つ。まずは、北東アジアの地政学リスクのさらなる高まりである。警戒された週末のイベントリスクは回避された。しかし、米政府は8日夜(日本時間9日朝)、11日までに北朝鮮に対する追加制裁決議案(石油や液化天然ガスの全面禁輸等)を採決するよう国連安全保障理事会に要請。中露の反対により米国サイドが求める制裁内容とはならなくても、何らかの追加制裁が決議される場合、「地政学リスクの再燃→米金利低下→米株低下」の展開を警戒したい。外為市場では「米金利低下=米ドル安」と「株式下落=円高圧力」の展開が想定れ、ドル円は107円の下方ブレイクもあえり得よう。
もう一つの要因は、インフレ鈍化懸念である。14日に8月の米CPIが発表されるが、コアCPI(前年同月比)は1.7%で抑制された状況となっている(チャート②参照)。今回のコア予想値は(同)1.6%(前月比:0.2%)。PCE指数に続きインフレ鈍化のトレンド化を想起させる内容となれば、12月利上げ期待を後退させよう。それは、米金利のさらなる低下と米ドル安圧力を強めよう。ドル円は株式動向次第でやはり107円割れを警戒したい。一方、ユーロドルは、米独利回り格差の縮小を背景に1.21を越え、上値トライが継続しよう。