Market Analysis
7日の米国債券市場で長期金利は2.861%まで上昇する局面が見られた。株高に連動しての反発だったが、それが再び株安圧力を強めた事実は、短期的に米金利の動向が米国株式のかく乱要因であり続けることを示唆している。だが、米長期金利が反発基調へ転じても、株式ボラティリティは低下傾向にある(チャート①参照)。米国経済のファンダメンタルズが急変している指標データも見当たらない。現時点では、米金利の上昇によるリスク回避トレンドの形成の可能性は低い。
米金利以外で注視すべきは、ユーロドルの動向である。昨日は大陰線の示現により、リトレースメント23.60%および21日MAを下方ブレイクした。10日MAがサポートからレジスタンスラインへ転換した点も考えるならば、テクニカル面では調整相場へシフトするシグナルが点灯したと判断。また、リスクリバーサル(1か月)は拡大し続け、且つファンダメンタルズ面では、米独10年債利回り格差がレンジの上限210bpを突破しつつある(チャート②参照)。米独利回り格差が210bpを越えてくるならば、ユーロ高の調整地合いが加速しよう。対ユーロで米ドルの買戻し圧力が強まれば国際商品市況も軟調地合いへ転じることで、対資源&新興国通貨でも米ドルを買い戻す動きが散見されよう。米ドルの買戻しはドル円のサポート要因となるだろう。だがこの展開の場合、注視すべきは株式の不安定化である。米金利の上昇が株安要因として意識されているタイミングで、ドル高や国際商品市況の下落が重なれば、米株の不安定化を助長しよう。米株の不安定化は世界株式の不安定化につながろう。2017年以降のドル円相場は、株安局面で円高へ振れる状況が続いている。「ユーロドルの調整 (=米金利上昇&米ドル買戻し)vs 株安」の展開では、株安圧力の方が勝ることで108円台を中心とした攻防が想定される。ドル円のテクニカルポイントはチャート③を参照されたし。