Market Analysis
8日の米10年債利回りは、再び2.9%を目指す展開となった。注視すべきは株式のボラティリティだが、米株のそれらは再び上昇。特に米株高のけん引役であるナスダック100のボラティリティの急反発が目立った(チャート①参照)。また、欧州株式ではVSTOXXが2月6日の水準を一気に突破する展開となった(チャート①参照)。8日のレポート「ユーロドルの調整とドル円への影響」でも指摘したとおり、短期的には米長期金利の動向が株式市場のかく乱要因となろう。この状況が続く限り、ドル円は108円台の攻防を注視する状況が継続しよう。
株式市場、特に米国株式のかく乱要因としてもうひとつ注視すべきは、ユーロドルの動向である。テクニカル面で調整シグナルが点灯したことは8日のレポートで指摘済み。リスクリバーサル(1M-3M)が拡大基調を鮮明にしている点も考えるならば、昨年12月18日安値1.1736レベルを起点とした短期レジスタンスラインを視野にさらに下落幅が拡大(=米ドルの買戻しが進行)する可能性が高まっている(チャート②参照)。このラインは来週、1.2536からのリトレースメント38.20%とクロスする。対ユーロでの米ドル買いは米ドル相場全体のサポート要因となる一方、米企業へのネガティブ要因として意識される材料でもある。また、国際商品市況の下落要因でもある。ユーロドルの調整が米国株式の不安定化を助長するならば、ドル円は米ドル高よりもリスク回避相場の方に敏感に反応し、上述した108円の攻防が散見されよう。目先の下値攻防分岐は、2017年以降レンジの下限として意識され続け、且つ直近は厚いビッドが観測されている108.00だろう。1月26日安値108.27ブレイクは、このポイントをトライするシグナルとなろう。108.00をも下方ブレイクする場合、米国株式をはじめとした世界的な株高調整の圧力がさらに強まっている展開が想定される。尚、ドル円のリスクリバーサル(1M)は、昨年4月のフランスリスク以来の水準まで急拡大中(チャート③参照)。通貨オプション市場では、ドル円の下落リスクに対する警戒レベルが上昇している。