Market Analysis
4日の米長期金利(10年債利回り)は、一時3.232%と2011年5月以来の水準まで急騰する局面が見られた。10月に入り金利の上昇スピードが加速していることで、さすがの米株もこの日は下落で反応。今年初めのリスク回避相場と同じ展開になっている。だが、3.0%の水準を突破しても株高トレンドが維持されてきた事実、その株高トレンドの土台となっている米ファンダメンタルズの堅調さ、その堅調さの根拠となっている良好な指標データ、さらに持続的な米金利の上昇には株高トレンドの維持が必須条件であることを考えるならば、今回も米国市場(=米株と金利間)の適正水準を探りながら株安圧力が後退する展開を想定している。
米金利の上昇局面でより注視すべきは、新興国市場の動向だろう。上述したとおり昨日の外為市場は新興国通貨売り圧力が高まった。興味深いのはインドネシアと同様、経常赤字の問題に直面するトルコと南アフリカの通貨に対して売り圧力が高まったことだ。米金利の上昇は米ドル高要因である。これらは米ドル建て債務を抱える国にとってはネガティブ要因であり、且つ原油高の状況が同時に発生している現在のマーケット環境では、経常赤字という脆弱性を抱える新興国の通貨に対して売り圧力が高まるのはセオリー通りの動向と言える。また、新興国株式のボラティリティも警戒水準の23ポイントを上回ってきた。3日のレポート「リスク選好相場の調整要因」で指摘したとおり、米ドル高(米金利上昇)プラス原油高が経常赤字を抱える新興国を中心に先行き不透明感が高まり、それがリスク選好相場の調整要因となる可能性が高まってきた状況を警戒すべきだろう。
本日のドル円は、売り買い交錯相場を想定したい。10日MA(113.54前後)を本日の下値攻防分岐と想定。このMAは今日現在、フィボナッチ・リトレースメント23.60%とクロスしている。9月米雇用統計が総じて市場予想を上回る場合、これらテクニカル以上の水準でNYクローズを迎える展開を想定している。一方、上値の焦点は、オファーが観測されいてる114.50および直近高値114.54となろう。一方、新興国不安のムードが出始めるているタイミングで同指標データが市場予想以下となる場合は、113.00トライを警戒したい。112.94はリトレースメント38.20%の水準にあたる。尚、113.30から113.00にかけては断続的にビッドが並んでいる。
一方、ユーロドルも米雇用統計の内容に左右される展開を想定している。市場予想以上ならば、1.1450を下限に米ドル高優勢の展開を想定したい。逆に市場予想以下ならば、10日MA(1.1613前後)を上限に調整の反発を意識したい。1.1450にはビッド、1.1600にはオファーがそれぞれ観測されている。
【チャート①:株式ボラティリティ】