Market Analysis
23日の米債券市場で長期金利(10年債利回り)は、一時3.0%目前まで上昇する局面が見られた。米株は強弱まちまちの展開となるも、終盤に下げ幅を縮小し底堅さを維持。金利上昇に対するヒステリックな反応は見られなかった。現状、2月上旬のようなリスク回避相場の再来ムードはない。だが、ナスダック100のボラティリティとS&P500指数のボラティリティ(VIX)とのかい離が見られる点は要注意(チャート①参照)。スマートフォン需要の縮小懸念が意識され、直近ではハイテクセクターに売りが散見されている。金利の上昇が資金調達コスト上昇の懸念を高めれば、ハイテクセクターでのボラティリティがさらに拡大し、その影響が米株全体に波及する可能性がある。金利上昇リスクの相殺要因として注目すべきは四半期決算となろう。米アルファベットの決算が発表した1~3月期決算では、純利益が前年同期比73%増の94億100万ドル、1株利益が9.93ドルと市場予想の9.28ドルを上回った。他のハイテク企業でも良好な決算内容となれば、金利上昇リスクを相殺することで米株をサポートしよう。
米金利の上昇と米株高維持の状況が続く限り、ドル円は上値トライの継続を想定したい。目先の焦点は109.00前後の攻防となろう。このレベルには100日MAが推移し、且つ直近安値104.55からのリトレースメント76.40%も109.07に位置している(チャート②参照)。109円台の攻防へシフトする場合、2月8日高値109.78トライが注目される。突破に成功する場合は110円トライのシグナルとなろう。一方、ユーロドルは1.21台の攻防シフトを想定。テクニカル面では100日MAの攻防が焦点だが、ディセンディングトライアングルのパターン形成やDMIが下降トレンドを示唆している点も考えるならば、重要サポートポイント1.2150トライ/ ブレイクを常に意識する局面へシフトしている。
【チャート①:米長期金利と株式ボラティリティ】