Analyst's view
ユーロドルは5日、直近安値1.1552を起点とした短期サポートラインを大陰線で下方ブレイクした。だが、今回の下落の主因は、ドイツの政治リスクを意識したユーロ売りであって米ドル買いではない。米ドル高を軸としたユーロドルの下落には米長期金利の持続的な上昇が不可欠だが、直近は2.35%台まで再び低下中(チャート①)。その結果、今週の米独利回り格差は縮小傾向にある。米長期金利が再び2.4%台へ回復するには、両院協議会で税制改革案の一本化議論がスムーズに進行することが必須条件となろう。だが、現時点では米下院が4日の本会議で両院協議会を開くことを承認した以外、新たな報道は見られない。今後議論が紛糾するならば、米長期金利の低空飛行が継続しよう。これを背景にユーロドルは再び反発するだろう。
本日のドル円は、引き続き112円台を中心とした売り買い交錯相場を想定したい。だが、5日のレポート「ロシアゲート疑惑と米株の動向」でも指摘したとおり、現在の米株は調整色が強まっている。このタイミングでロシアゲート疑惑が再燃すれば、米国市場は一時的なリスク回避相場(=株安 / 金利低下)となろう。よって、目先はダウンサイドリスクを警戒したい。米国市場がリスク回避相場となる場合、目先の下値攻防分岐は111.95レベルを想定したい。この水準には日足転換線と10日MAが密集している(チャート②)。これらテクニカルの下方ブレイクは、111.00再トライのシグナルとして警戒したい。一方、上値の攻防分岐は113.10レベルを想定したい。
ユーロドルは目先、ドイツ政治の動向次第で上下に振れる展開となろう。ドイツ社会民主党(SPD)は7-9日に党大会を開くが、SPD内にはメルケル独首相率いる最大会派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立に対する拒否感が根強い。再選挙リスクがくすぶる以上、本日以降21日MAトライを警戒したい(チャート③)。