Market Analysis
今週の外為市場は、引き続き米国債券市場の動向を注視する展開となろう。米国内の原油生産量増加を背景にNY原油先物相場では頭打ち感が出始めている(チャート①参照)。この点は米金利、特に長期金利の抑制要因となり得る。だが、現在の米長期金利上昇の要因は原油動向以外にもうひとつある。それは、パウエルFRB(FED)による利上げペース加速の可能性である。今週発表される米国の重要データが市場予想を上回るならば、米国債券市場では「良好な指標データ=米利上げペースの加速」が意識され、長期金利は2.9%台の攻防へシフトする可能性が高い。2.9%へ到達後も上昇基調が続く場合、米国株式の不安定化は継続し、それに伴い世界の株式も上下に振れる状況が続こう。外為市場では対ユーロでの米ドルのショートカバーが継続し、そして資源&新興国通貨でも米ドル高優勢地合いが想定される。だが、ドル円は米ドル買いよりも株式市場の不安定化の影響力が勝り、109円を挟んだ上値の重い状況が続こう。
今週、最も注視すべき米指標データは、14日の1月消費者物価指数(CPI)となろう。市場予想は前年同月比で1.9%、コア指数のそれは1.7%となっている。予想以上の伸びとなれば上述した展開が想定される。一方、市場予想を下回る内容ならば「米長期金利の低下(債券の買戻し)→FEDによる緩やかな利上げペースの期待→株高」の展開を想定したい。この場合、米ドル相場は米長期金利の低下を背景に売り優勢となるだろう。一方、円相場はクロス円の上昇がドル円をサポートする展開となろう。また、FEDの金融政策リスクが意識されやすい状況下では、1月小売売上高、同月生産者物価指数(PPI)そして2月ミシガン大学消費者態度指数速報値の内容にも注目したい。これら指標データが総じて市場予想を上回る場合、インフレの上振れ観測を米国債券市場で想起させる要因となり得るからだ。
今週のドル円の上値攻防分岐は、113.38を起点とした短期レジスタンスラインおよび21日MAとなろう。下値のそれは厚いビッドが観測されている108.00で変わらず。一方、ユーロドルの上値攻防分岐は21日MA、下値のそれは短期サポートラインとなろう。それぞれチャート②および③を参照されたし。