Analyst's view
米10年債利回りは低下基調を辿り続けている。7日のレポート「米長期金利の低下要因」で指摘したとおり、先月27日以降から続く米金利低下の背景には2つの要因がある。そのうちの一つ、低インフレ懸念の払しょくについては中長期スパンでインフレ指標のデータを確認する必要がある。よって目先、米金利反発の要因として注視すべきはトランプ減税の進捗状況となろう。米下院では今月6日より議会審議に入っている。ライアン下院議長は今月23日の感謝祭までの修正法案可決の見通しを示している。順調に審議が進行すれば、「来月中に上院で可決→年内成立」の期待が市場で意識されよう。この場合、米債券市場では金利に再び反発圧力が強まり、米ドル買いをサポートする展開を想定したい。米株も主要企業の好業績拡大期待を背景に株高トレンドを維持しよう。「米金利反発 / 株高維持」を背景にドル円は115円を目指す展開を想定したい。逆に下院の審議でもたつくならば、トランプ減税への期待がさらに後退することで、米金利は低下基調を辿る可能性が高いだろう。この場合、米ドル安圧力が強まることでドル円の上値を圧迫しよう。
本日のドル円はダウンサイドリスクを警戒したい。下落圧力を強める要因として注視すべきは10月の中国貿易収支(市場予想:391.0億ドル / 前回:286.1億ドル)である。米国の対中赤字がコンスタントに300億ドルを超える状況が続く中、明日の米中首脳会談前に中国の貿易黒字、特に対米黒字が拡大すれば、米通商政策(=米ドル安政策)の促進を市場は意識する可能性がある。具体的なチャートポイントについてはテクニカルレポートを参照されたし。