Market Analysis
1月の米国消費者物価コア指数は前年同月比で1.8%増と、市場予想の1.7%増を上回る内容となった。賃金の上昇がインフレの上昇圧力に影響を与えていることが確認されたことで、長期金利は上述のとおり2.92%まで急騰した。昨日の米金利上昇の局面において注視すべきは、米株が株高となった事実だろう(チャート①)。米株のボラティリティが20ポイント前後まで急低下している状況も考えるならば、金利の上昇リスクに対する米株の耐性が徐々についていることを示唆している(チャート①)。また、欧州株式は「ユーロ高 / 金利上昇」という、米株以上に株安圧力が強まり易い環境にあるにもかかわらず、昨日は全面高となった。ボラティリティも米株同様低下基調へ転じている。金利の上昇リスクを発端とした株安は、調整相場で終わる可能性があることを昨日の株式動向は示唆している。
昨日の動向が示すとおり株式の反発はクロス円のサポート要因となろう。しかしドル円は、世界的な米ドル安圧力が再び強まっていることで反発しても、上昇幅は限定的となる可能性が高い。目先の焦点は108.00レベルの攻防となろう。直近の下落スピードが速かったこと、リスクリバーサルの拡大が一服していること、そしてテクニカル面で標準誤差回帰分析バンドの下限付近まで下落している状況を考えるならば、目先はショートカバーの展開が想定される(チャート②)。その際、これまで重要サポートポイントとして意識され続けてきた108.00レベルがレジスタンスへ転換する場合、それはドル円の下落シグナルとして市場で捉えられよう。すでにこのレベルにオファーが観測され始めている状況を考えるならば、レジスタンスポイントへの転換を警戒したい。
108.00の攻防を見極める上で、米ドル安の発端となっているユーロドルの動向も注視する必要があろう。目先の焦点は1.2520レベルの突破となろう。リスクリバーサルの動向を確認するならば、1.25台を視野に反発基調が継続する可能性が高い。その場合、108.00レベルがレジスタンスへ転換する可能性が高まろう。尚、ドル円の下値の焦点だが、目先は昨日安値106.70となろう。このレベルをも下方ブレイクする場合は、105円台への下落を警戒したい。