Analyst's view
米10年債利回りは、再び2.4%の水準でキャップされている(チャート①)。市場予想を上回った10月米CPIコア(前年同月比)および下院による税制改革法案の可決に対する米金利の反応が限定的である事実は、低インフレからの早期脱却とトランプ減税の年内成立に対する米債市場参加者の根強い不信感を示唆している。今週はインフレと直接関係する米指標データの発表は予定されていない。また、可決された下院案とは別に上院では独自の案が可決される可能性が現時点で高いことを考えるならば、トランプ減税に対する期待が再び盛り上がるタイミングでもない。さらに、米国株式市場で調整ムードがにわかに強まっている点も考えるならば、今週は米ドル安継続の週となる可能性があろう。
米ドル安が継続する場合、ドル円は調整相場の加速を警戒したい。上述した米ドル安の環境に加え、シカゴIMM通貨先物市場の円の売り(ショート)越しが約13.6万枚まで増加している。感謝祭を前に米国株式市場で調整ムードがさらに強まれば、日本株もその影響を受けることで、円ショートを巻き戻す動きが強まることが想定される。さらにテクニカル面ではアベノミクス導入後の高値レベルを起点としたレジスタンスラインで上値がレジストされ、一目転換線が基準線を下方ブレイクしている(チャート②&③)。これらの状況を考えるならば、ドル円が下値トライとなる場合、日足の一目雲の維持が焦点として浮上しよう。
一方、ユーロドルは1.1860レベルの攻防が焦点となろう(チャート④)。このレベルをトライするシグナルとして75日MAの攻防に引き続き注視したい。1.1860レベルの突破となれば、対ユーロでさらに米ドル安が加速しよう。ユーロドルが上値トライとなれば、ドル円の下落圧力を高める要因となろう。