Market Analysis
先週、トランプ米政権が対中関税第3弾の発動に動き出すことが伝わるとドルインデックスは94.45レベルで底打ち感を強め、昨日は8月21日以来となる95.73レベルまで上昇する局面が見られた。「国際貿易摩擦の問題=米ドル高要因」の主因が新興国通貨売りにあることはこのレポートで指摘済み。事実、対中関税第3弾の発動が意識される中、4日の主要な新興国通貨は対ドルで下落した。特に目立ったのが南アランドだった。4日に発表されたQ2GDPは前期比年率0.7%減。景気後退局面入りが具体的な数値で確認された。今後、国際貿易摩擦の問題だけでなく、国内の土地改革問題を巡りトランプ米政権との対立が深まる可能性を考えるならば、南アランドは単発の調整を挟みながら対ドルで下落トレンドを形成する可能性が高い。米国との政治対立激化によるトルコリラ売りは止まらず、中国人民元(CNH)も対ドルで6.8台の高値水準を維持する状況が続いている。また、10月の大統領選挙に対する不透明感でブラジルレアルの売り圧力も根強い。国際貿易摩擦問題プラス各リスク要因に直面している新興国通貨は今週、対米ドルで軟調地合いが続こう。その影響はユーロドルの下落圧力を高めよう。事実、昨日は21日MA(1.1542)を一時的に下方ブレイクする局面が見られた。長い下ヒゲが示現しており、本日は調整の反発が見られるだろう。だが、レジスタンスポイント1.1750の突破に失敗し、現状10日MA(1.1629)がレジスタンスラインとして意識されている点を考えるならば、意識すべきは21日MAの下方ブレイクおよび1.1500トライとなろう。1.1510から1.1500にかけてはビッドが断続的に並んでいる。一方1.1630および1.1650にはオファーの観測あり。
ドル円は111.00を挟んだ攻防を想定したい。「国際貿易摩擦→新興国通貨売り→米ドル買い」がサポート要因となる一方、「国際貿易摩擦→米株高調整→円買い」を考慮するなら、8月1日高値112.14前後を上限と想定。8月29日高値111.82の突破は112.00トライのシグナルとして意識したい。111.60から112.00にかけては断続的にオファーが並んでいる。一方、本日の下限は今週相場をサポートしている110.80を想定。110.60から110.40にかけてビッドの観測あり。
【チャート①:ドルインデックス】