Market Analysis
この日発表されたFOMC議事録は、利上げペースの加速を市場に意識させるインパクトはなかった。新味に欠けた議事録公表後にすでに6月利上げを織り込んでいる米債券市場では金利全般に低下圧力が高まり、米10年債利回りは節目の3.0%をあっさりと割り込んだ。直近の動向を考えるならば、米金利の低下はユーロドルの反発圧力を強めるはずだが、逆に1.17割れの展開となりユーロ相場が米ドル相場のサポート要因となっている現状が浮き彫りとなった。ユーロ売りの主因はファンダメンタルズに対する不透明感にある。今後発表される指標データが引き続き市場予想を下回るならば、ユーロドルは昨年11月7日安値1.1552を視野に下落幅が拡大する展開を警戒したい。一方、ドル円は米株にらみの状況が続こう。FEDによる利上げが意識され且つ原油価格が高止まりする現状では、米株の下落以外に金利低下の要因は見当たらない。欧米株安に敏感に反応した昨日の金利動向はその点を示唆している。米株のボラティリティは引き続き20.0以下の水準を維持しており地合いの強さを示している。金利が低下しても米株が現在の状況を維持するならば、日米利回り格差が縮小してもその影響は株高により相殺されよう。
本日のドル円は110円前後で上値の重い展開を想定したい。テクニカル面では104.55を起点とした短期サポートラインを下方ブレイクしている。21日MA(109.82前後)および昨日の安値レベルでありビッドが観測されている109.50をローソク足の実体ベースで下方ブレイクするかどうか、この点に注目したい。一方、株高維持の場合は反発圧力が強まろう。このケースでは5日MA(110.54前後)のトライを想定したい。ユーロドルは短期的な反発を想定したい。しかし、リスクリバーサルはさらなる下落の警戒を示唆している。上昇幅は限定的と想定し、目先は5日MA(1.1748前後)のトライに注目したい。一方、下値の焦点は昨日安値1.1674の維持だが、このポイントを下方ブレイクする場合はビッドが観測されている1.1650および1.1600の維持に注目したい。