Analyst's view
「株高 / 原油高」にもかかわらず、10日の米10年債利回りには低下圧力が強まった。米共和党の重鎮で上院外交委員会のボブ・コーカー委員長がトランプ米大統領の言動を批判し、両者の対立が税制改革の進展を阻むとの懸念が米金利の低下要因になった、との指摘が一部である。しかし、5月以降の米債券市場の動向を鑑みるに、2.3%~2.4%レベルの水準では米債買いの妙味が増し、「債券買い=米金利低下」というパターンが確認できる(チャート①参照)。過去の経緯を考えるならば、昨日の米金利低下の主因はポジション調整にあったと考えられる。米金利が2.4%の水準を越え、その後も反発基調を維持するためには低インフレ懸念を払しょくする良好なインフレ指標データの確認が必要となろう。「株高 / 原油高」が続いている状況下では、米金利が急低下する可能性は低い。だが、13日の米指標データを確認するまで2.4%を一気に上方ブレイクする状況にもない。
目先、米金利がレンジ相場に入る可能性がある中、最も注視すべきはユーロドルの動向となろう。先月25日のドラギ発言をきっかけにユーロ高の調整圧力が強まっていたユーロドルだが、昨日は大陽線の示現により短期レジスタンスラインを上方ブレイク(チャート②参照)。先月29日高値1.1832の突破にも成功すれば、1.2092を起点としたレジスタンスラインを視野に上昇幅が拡大するムードが高まってきた。ドルインデックスが3日連続で陰線示現となっている点を考えるならば、現在のユーロドル反発の主因は米ドル売りにあろう。だが、26日のECB理事会での金融緩和政策転換への期待が再び意識される可能性がある点を考えるならば、今後はユーロ買い主体で徐々に上値トライとなる可能性がある。米10年債利回りが2.40%手前でキャップされ、且つ対ユーロで米ドル売り圧力が強まれば、ドル円は短期的に日足雲の上限を目指す展開を想定したい。