Market Analysis
黒田日銀総裁は23日の会見で、出口を対応する局面に至っていないと、市場で意識され始めているテーパリング(=金融緩和の縮小)観測をあらためて否定した。だが、今週の日米利回り格差の動向を確認すると縮小傾向にあり、黒田総裁の会見後もこの傾向は続いた(チャート①参照)。一方、米独利回り格差も同様に縮小傾向にあり、ユーロドルは1.23台の攻防へとシフトしつつある(チャート①参照)。対ユーロでの根強い米ドル安に加え、日米利回り格差の拡大よりも縮小の方に敏感に反応している地合いを考えるならば、本日のドル円は下値の攻防分岐110.15トライを警戒したい(チャート②参照)。このレベルを挟んでビッドも展開しており、オーダー状況の面でも110.15は重要サポートポイントと言える。このポイントを下方ブレイクする場合は、節目の110円トライは時間の問題となろう。
一方、クロス円で注視すべき通貨ペアはポンド円となろう。ポンド相場はソフトBrexitに対する期待を背景に、対ドル&円でBrexit後の高値水準を更新中。本日の雇用関連指標が市場予想を上回れば、ポンド買い圧力がさらに強まる展開を想定したい。逆に冴えない内容となれば調整相場を警戒したい。前者の場合、上値の攻防分岐は昨日高値155.38となろう。このレベルを突破する場合、標準誤差回帰分析バンドの上限が推移している156.00前後を次のターゲットと想定したい。対ユーロだけでなく、対ポンドでも米ドル売り圧力が強まれば、ドル円の下値トライ圧力を強める要因となり得るため要注意。調整相場の場合は、リトレースメント38.20%の水準にあたる153.40レベルの維持が焦点となろう。今日現在、10日MAが38.20%戻しと同じ水準まで上昇中(チャート③参照)。