Market Analysis
30日の米長期金利は一時2.733%と、2014年4月以来となる水準まで上昇した。注視すべきは米長期金利が2.70%台の水準で上昇したタイミングで米国株式のボラティリティが上昇し(チャート①参照)、且つこれまで金利の上昇にポジティブな反応を示していた金融セクターが下落で反応している点だろう。これらの動向は、現在の金利水準が米国株式にとってネガティブ要因であることを示唆している。ドル安圧力が継続する中での株高の維持は、ドル円の108円台維持を左右する重要な要因である。その株高が一時的にせよ崩れるならば、攻防分岐の108.00を下方ブレイクし、2017年安値107.31を視野に下落幅が拡大する展開を警戒したい。
さらなる米ドル安&株高調整の要因として目先警戒すべきは、現地時間30日夜(日本時間31日午前11時過ぎ)に予定されているトランプ米大統領の一般教書演説となろう。通商政策リスク(=貿易摩擦リスク)を市場に意識させる内容となれば、米ドル安の圧力と株高の調整圧力を強める可能性がある。また、1.7兆ドルに及ぶ大規模なインフラ投資について具体性に欠ける内容、特に財源確保の具体策を無視する内容となればむしろ財政悪化懸念を市場に想起させる可能性があろう。こちらは米ドル安圧力を強める要因として警戒したい。一方、FOMCだが、今回は声明文のみでFEDの思惑を探ることになろう。その内容は前回を踏襲する可能性が高いが、リスク要因はインフレ見通しについての上方修正だろう。この場合、米金利の上昇圧力をさらに高めることで株高のさらなる調整を促す要因となり得る。ドル円は108円が攻防分岐となろう。この水準を維持するならば、109.20を目指す展開を想定したい。だが、1月8日高値113.38を起点とした短期レジスタンスラインを突破しない限り、常に108円割れのリスクを警戒する状況は続こう。逆に108円割れの場合は、上述した107.31が次の下値ターゲットとして浮上しよう。