Market Analysis
「冴えないISM製造業指数→米長期金利低下→米ドル安」の展開は想定通りだったが、米株は冴えない指標データよりも米中貿易摩擦に対する懸念の後退と好決算の方が意識され続伸した。米株のボラティリティ(VIX指数)はようやく警戒水準の20ポイントを下回る状況に。良好な四半期決算と指標データが投資家のセンチメント改善を促している現状を考えるならば、本日の企業決算(エクソンモービル / シェブロン)および10月雇用統計は重要イベントとなろう。より注視すべきは雇用統計である。今期の決算では、良好な決算内容が必ずしも米株高要因として意識されない局面が見られた。その理由は、先行きに対する不透明感が主要企業で意識され始めたためである。米国経済の持続的な成長はこの不透明感を払拭する唯一の材料であり、これ(=堅調な米国ファンダメンタルズ)が崩れない限り、もしくはその懸念が高まらない限り、10月のような下落局面が再来しても結局は反発するという、これまでのパターンが続こう。
本日のドル円は、米雇用統計発表前までは112円台での売り買い交錯相場を想定。NFPと平均賃金の市場予想はそれぞれ19.0万人 / 3.1%(前年比)。賃金の堅調な伸びが確認される場合、米経済のエンジンである個人消費の持続的な拡大に対する期待感が高まろう。よって、NFPが若干市場予想を下回っても米株は反発基調を維持する公算が高い。米国市場がリスク選好相場(=株高 /金利上昇)となる場合、ドル円は113円台への再上昇を想定したい。上値の攻防分岐は10月31日高値113.38。この水準を突破する場合、113.50を次の上値ターゲットと想定している。一方、「冴えない雇用統計→米株反落→米長期金利の低下」の局面では111.70台までの下落を想定したい。
ユーロドルも米雇用統計次第でトレンドが左右されよう。良好な指標結果のケースでは再び1.1300を視野に下落幅の拡大を想定する一方、NFPと平均賃金が市場予想を下回るケースでは「米長期金利の低下→米独利回り格差の縮小」による反発基調を維持しよう。このケースでの上値ターゲットは、短期レジスタンスラインと並行している21日(1.1463)となろう。
【チャート①:米株ボラティリティ(VIX)】