Market Analysis
先週後半よりドルインデックスは連日の陰線引けとなった。米長期金利が3.0%前後で高止まりしているにもかかわらず米ドル相場の上昇が抑制された主因は、ユーロドルの反発にある(チャート参照)。1.18台の維持に成功し、且つ直近3週間の下落率が4%超となっている点も考えるならば、今週のユーロドルは調整目的のユーロショートカバー(=買い戻し)が散見されよう。だが、WTIは70ドル台の水準を維持し、それに伴い米長期金利も高止まりの状態にある。米株高が金利上昇のサポート要因となり得る点も考えるならば、ユーロドルの上昇幅は限定的となろう。投機筋のユーロネットロングが未だ12万枚以上積み上がっている状況もユーロドルの反発を抑える要因となろう。目先、上値の焦点は200日MAが推移している1.2020前後を想定。今週ユーロ相場の変動要因として注視すべきは、15日の5月ZEW指数および第1四半期GDP速報値となろう。市場予想以上ならば素直にユーロ買い、逆の展開ならばユーロ売りの反応を想定したい。
一方、米ドル相場の変動要因は指標データとFEDスピーカーの講演となろう。前者で注目すべき材料は、15日の4月小売売上高となろう。コア指数は前月比+0.5%と前月の同+0.2%から上昇する見通しとなっている。個人消費の拡大が確認される場合、米長期金利はインフレの上昇観測を背景に現在のトレンドを維持し、外為市場では米ドル高圧力が再び高まろう。上述した独指標データが市場予想を上回っても、米長期金利が高止まりしているタイミングでの良好な米指標データとなれば、ユーロドルは想定レンジの下限1.1800を視野に再び下落基調となろう。一方、小売売上高が市場予想を下回る場合は、調整の米ドル売りを想定したい。ただ、米ドル売りを軸としたユーロドルの反発ならば、200日MA突破の可能性は低い。住宅関連指標および製造業関連指標データも米ドル相場の変動要因となる可能性がある。指標データ以外で注視すべき米国イベントは、FEDスピーカーの講演となろう。6月FOMCが近づく中、ファンダメンタルズ(特にインフレ)の見通しについて言及があるかが焦点となろう。3月FOMC議事録と5月FOMC声明文ではこの点について強気のスタンスを維持している。FEDスピーカーの講演は米ドル高要因となる可能性が高い。
ドル円は、108.00-110.50をコアレンジと想定したい。ユーロドルが反発地合い(=米ドル売り)となっても、株高トレンドが崩れない限り下落幅は限定的だろう。ビッドが観測されている108.00を維持する展開を想定したい。一方、上値は引き続き110円台の上昇が焦点となろう。テクニカル面では、昨年11月6日高値114.72を起点としたレジスタンスラインの突破が注目される。具体的なチャートポイントについては、別途テクニカルレポートを参照されたし。
【チャート:米長期金利、ドルインデックス、ユーロドル】